
不動産の売却で残置物がある実家はどうする?買取や処分費用を抑える進め方を解説
親が暮らしていた実家を手放したいものの、荷物や家具がそのままで、何から手を付ければよいか分からないという方は少なくありません。
特に、相続した実家が空き家になっている場合は、遠方に住んでいて片付けに通えない、兄弟姉妹で意見がまとまらない、思い出の品をどう扱えばよいか分からないなど、残置物をめぐる悩みが重なりやすくなります。
不動産売却では、多くの場合、残置物を撤去・処分してから買主へ引き渡すことが前提となるため、処分方法や残置物処分費用の見通しを立てないまま動き出すと、後で思わぬ負担がのしかかることがあります。
一方で、「荷物をそのまま売却する(現状渡し)」「残置物ごと不動産買取を利用する」といった方法を選べば、片付けの手間や費用を大きく減らせるケースもあります。
そこで今回は、実家売却で問題になりやすい残置物の基礎知識から、自治体の粗大ごみ回収・遺品整理業者などの具体的な処分方法と費用相場、荷物を残したまま売る場合の選択肢、さらに買取という方法や税金・相続手続きの注意点まで、順を追って分かりやすく解説します。
ご自身の状況に合った進め方を知ることで、時間もお金も無駄にせず、実家の売却を安心して進めるための参考にしてください。
実家売却で問題になる「残置物」とは何か
残置物の定義と実家に残りやすいもの
不動産売却における残置物とは、前の所有者や居住者が退去後も建物内や敷地内に残した家具・家電・生活用品などの私物(動産)を指します。
空き家となった実家では、タンスや食器棚、冷蔵庫、洗濯機、衣類、食器類、書籍、布団、仏壇、趣味の道具などがそのまま残っていることが多く、生活の痕跡が一式残された状態になりやすいです。
また、室内だけでなく、物置や倉庫、庭の植木鉢、古い自転車、農機具、ブロックや廃材など、屋外の残置物も見落とされがちなポイントです。
長年住み続けた一戸建ての実家では、押し入れや天袋、屋根裏、床下収納にまで荷物が詰まっていることも珍しくなく、想像以上に量が多くなる傾向があります。
残置物を残したままにすると起こりやすいトラブル
残置物の扱いをあいまいにしたまま売却活動を進めると、所有者や相続人の間で片付けの負担や費用分担を巡る意見の対立が生じることがあります。
さらに、買主との間でも「引き渡し時にどこまで片付いていればよいか」をめぐる認識のずれが起こり、売却手続きの遅れや追加費用の発生につながる場合があります。
一般的な不動産売却では、引き渡し時に室内外の動産を撤去し、「残置物のない空き家」の状態にして買主へ引き渡すことが原則とされています。
家具や家電、粗大ごみ、生活ごみなどが残っていると、内見時に室内が狭く暗く見えやすく、購入希望者の印象が悪くなり、結果として売却期間の長期化や値下げ交渉の材料になるおそれがあります。
また、引き渡し時点で残置物が残っていると、「誰の費用と責任で処分するのか」「売買価格にどの程度織り込まれているのか」が問題となり、後日の追加請求や引き渡し条件を巡る紛争に発展する例も報告されています。
このため、多くの売買契約では、売主が引き渡し日までに残置物を撤去することを前提に条件が整えられます。
付帯設備表・物件状況確認書で「残すもの」を明確にする
残置物の有無や撤去の責任を明確にするために、不動産取引では付帯設備表や物件状況確認書(告知書)などの書面が用いられます。
付帯設備表では、エアコンや給湯器、照明器具、カーテンレール、網戸などの設備について「残すもの」と「撤去するもの」を整理し、物件状況確認書では、建物や敷地の状態、雨漏りやシロアリ被害の有無、残っている動産の有無などを売主が申告します。
これらの書面で事前に整理しておくことで、「残す約束だと思っていた設備が撤去されていた」「処分されるはずの荷物が残っていた」といった行き違いを防ぎやすくなります。
一方で、記載漏れやあいまいな表現があると、後に責任の所在が不明確となるため、実家にどのような荷物や設備が残っているかを事前に丁寧に確認し、できるだけ具体的に記録しておくことが重要です。

契約不適合責任と残置物の関係
2020年4月の民法改正により、売主の責任は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」へと変わりました。
契約不適合責任とは、引き渡した不動産が種類・品質・数量などの点で契約内容に適合しない場合に、売主が修補や代金減額、損害賠償などの責任を負う仕組みです。
たとえば、契約書で「残置物はすべて撤去して引き渡す」と定めていたにもかかわらず荷物が残っていた場合、買主から撤去費用を請求される可能性があります。
反対に、「残置物を含めて現状のまま引き渡す」と明記し、買主が撤去を引き受けることに合意していれば、後から責任を問われるリスクを抑えやすくなります。
つまり、残置物の問題は単なる片付けの話ではなく、売買契約の内容そのものに関わる重要なポイントだと理解しておくことが大切です。
| 区分 | 代表的な残置物 | 想定される問題点 |
|---|---|---|
| 家具類 | タンスや食器棚、ベッドなど大型家具 | 撤去費用負担や搬出作業の負担 |
| 家電類 | 冷蔵庫や洗濯機、テレビ、エアコン | 家電リサイクル費用や処分手続き |
| 生活用品等 | 衣類や食器、書籍、布団など | 分別作業の手間と時間 |
| 仏壇・遺品 | 仏壇、位牌、写真、手紙など | 供養の手配や思い入れへの配慮 |
| 屋外の残置物 | 物置、植木鉢、自転車、廃材など | 見落としによる引き渡し後の紛争 |
残置物処分の主な方法と費用相場をわかりやすく解説
自治体の粗大ごみ回収を利用する方法
実家に残った家具や家電を処分する方法としては、自治体の粗大ごみ回収と、一般廃棄物処理業者への依頼が基本になります。
自治体の粗大ごみ回収は、事前申込と処理券(シール)の購入が必要で、ベッドやタンスなど大きな家具でも多くの自治体で1点数百円〜数千円程度の手数料が目安とされています。
処分単価が安いのが大きなメリットですが、一戸建ての場合は点数が多くなりやすく、すべてを自治体だけで出すと複数回の申込が必要になることもあります。
また、1回あたりの申込点数に上限を設けている自治体や、収集日が月に数回に限られている自治体もあるため、売却スケジュールに間に合うよう早めに計画を立てることが大切です。
なお、売却前の残置物処分費用は、特約がない限り原則として売主側が負担する扱いが一般的です。
自治体の粗大ごみ回収は費用を抑えやすい一方で、自宅前や指定場所までしか運び出してもらえないなど、搬出は自分たちで行う必要がある点に注意が必要です。
マンションの場合は、エレベーターの利用や共用部分の養生、管理組合への届け出などが必要になることもあり、一戸建てとは異なる手間がかかる傾向があります。
大型家具が多い場合や高齢の売主だけでの作業が難しい場合には、無理をせず、一般廃棄物処理業者に自宅内からの搬出も含めて依頼する方法も検討しましょう。
家庭ごみとして出せる量の衣類や雑貨については、通常のごみ収集日に少しずつ出していくだけでも、最終的な処分費用の削減につながります。
家電リサイクル法の対象品は別ルートで処分
エアコン、テレビ(ブラウン管・液晶・有機EL)、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、家電リサイクル法の対象となるため、自治体の粗大ごみとしては出せません。
これらは、購入した販売店や買い替え先の家電量販店に引き取りを依頼するか、郵便局でリサイクル券を購入して指定引取場所へ持ち込むのが一般的な方法です。
処分時には、メーカーや品目、サイズに応じたリサイクル料金(数千円程度が目安)に加えて、販売店に引き取ってもらう場合は収集運搬料金がかかります。
また、パソコンは資源有効利用促進法に基づきメーカー回収などの対象となっているため、データ消去を行ったうえで適切に処分しましょう。
実家にはこうした家電が複数台残っていることが多いため、家電だけで数万円の費用になるケースもある点を見込んでおくと安心です。
一般廃棄物処理業者・遺品整理業者に依頼する方法
遺品整理業者や残置物撤去業者に依頼する場合は、現地見積もりのうえで、間取りと荷物量に応じた一括料金が提示されるのが一般的です。
全国的な相場としては、1Kで数万円台、2LDKで10万円台〜20万円台、3LDKで20万円台〜40万円程度を目安とする調査結果が公表されています。
ただし、同じ間取りでも荷物量や搬出経路、階段の有無、トラックの駐車スペース、貴重品の仕分けや清掃の有無により、実際の金額は大きく変動します。
作業日数についても、1Kで半日〜1日、ファミリー向けの戸建てやマンションでは1日〜2日程度を想定しておくと、売却スケジュールが立てやすくなります。
遺品整理業者の多くは、貴重品や重要書類の捜索、形見分けの仕分け、仏壇の供養手配、ハウスクリーニングまでまとめて対応できるため、遠方に住んでいて実家に何度も通えない方にとって心強い選択肢です。
| 間取り | 費用相場の目安 | 作業時間の目安 |
|---|---|---|
| 1K・1R | 数万円台 | 半日〜1日 |
| 1LDK・2DK | 10万円前後〜 | 1日程度 |
| 2LDK・3DK | 10万円台〜20万円台 | 1日〜2日 |
| 3LDK | 20万円台〜40万円程度 | 1日〜2日 |
| 4LDK以上・戸建て | 荷物量により40万円以上も | 2日以上 |
※上記はあくまで一般的な目安です。荷物量や立地条件、オプション作業の有無によって費用は大きく異なるため、必ず現地見積もりで確認しましょう。
不用品買取・リユースで処分費用を抑える
残置物処分費用を少しでも抑えたい場合は、まだ使える家具や家電、ブランド品、骨董品、着物、貴金属などを買取業者やリサイクルショップに売却する方法も有効です。
製造から年数の浅い家電や、状態の良い家具、趣味のコレクションなどは値段がつくことがあり、その分を処分費用に充てることができます。
遺品整理業者の中には、不用品の買取にも対応し、買取額を作業費用から差し引いてくれる業者もあるため、見積もり時に確認しておくとよいでしょう。
フリマアプリや地域の譲渡サービスを使う方法もありますが、出品や発送の手間がかかるため、売却スケジュールとのバランスを考えて取り入れることが大切です。

無許可の回収業者・悪質業者に注意
家庭から出る残置物(一般廃棄物)を収集・運搬するには、原則として市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。
「無料回収」をうたって巡回するトラックや、チラシだけで連絡先が不明確な業者の中には、許可を持たずに回収し、不法投棄や高額請求につながる悪質なケースもあると、環境省や自治体が注意を呼びかけています。
業者を選ぶ際は、許可の有無(または許可業者との提携)、見積書の内訳の明確さ、追加料金の条件、口コミや実績などを確認し、できれば2〜3社から相見積もりを取って比較することをおすすめします。
不法投棄が発覚した場合、依頼した側もトラブルに巻き込まれるおそれがあるため、価格の安さだけで判断しないことが重要です。
| 処分方法 | 費用の目安 | 主なメリット |
|---|---|---|
| 自治体の粗大ごみ回収 | 1点数百円〜数千円 | 処分単価が安い |
| 家電リサイクル(4品目) | 1台数千円+収集運搬料 | 法令に沿った適正処分 |
| 一般廃棄物処理業者 | 品目ごとの合計金額 | 自宅内から搬出対応 |
| 遺品整理・撤去業者 | 1K数万円〜 | 仕分けから一括対応 |
| 不用品買取・リユース | 買取額を費用に充当 | 処分費用の削減 |
荷物を残したまま売る3つの選択肢とメリット・デメリット
実家の売却では、残置物をどこまで片付けてから売るかが大きな検討事項になります。
すべてを片付けてから売却するのが理想ではあるものの、時間や体力、費用の面で難しいという方も多いのが実情です。
そのような場合には、荷物を残したまま売却する方法として、大きく分けて次の3つの選択肢があります。
それぞれの特徴とメリット・デメリットを理解し、ご家族の状況に合った方法を選ぶことが大切です。
選択肢1:家具・家電の一部を残して売却する
必要な家具や家電の一部を残したまま売却し、買主の生活に役立ててもらう方法があります。
たとえば、比較的新しいエアコンや照明器具、造り付けに近い食器棚、カーテンなどは、買主にとってもすぐに使える設備としてメリットになる場合があります。
ただし、その場合でも、どの荷物を引き渡し時に残すのか、どの荷物を売主側で処分するのかを明確に決めておくことが重要です。
付帯設備表に「残置する設備」として記載し、故障や不具合があっても売主は修理責任を負わない旨を取り決めておくと、引き渡し後のトラブルを防ぎやすくなります。
買主が不要だと判断した場合には撤去を求められることもあるため、事前に不動産会社を通じて買主の意向を確認しておきましょう。
選択肢2:残置物を含めて「現状渡し」で売却する
残置物を含めて「そのまま売る」いわゆる現状渡しの場合、買主側で片付けや処分が必要になるため、一般的には売却価格が下がりやすいとされています。
国土交通省などの調査でも、空き家の管理や残置物対応には一定のコストが発生し、所有者や取得者の負担になっていることが指摘されています。
買主は、残置物の撤去費用やリフォーム費用を見込んだうえで購入価格を検討するため、その分が値引き交渉の材料になることを理解しておく必要があります。
そのため、残置物を含めて引き渡す場合は、売買契約書で売主に撤去や処分の義務がないこと、後から追加費用を請求しないことなどを、当事者間で具体的に取り決めておくことが大切です。
また、引き渡し前に残置物の一覧を作成し、写真などで状態を記録しておくと、認識のずれを抑えやすくなります。
なお、貴重品や重要書類、思い出の品が残っていないかは、現状渡しであっても必ず事前に確認しておきましょう。
選択肢3:不動産買取で残置物ごと売却する
片付けの負担を軽くしつつ早期に売却したい場合、残置物ごと不動産会社に直接買い取ってもらう「不動産買取」という選択肢もあります。
買取では、売主が荷物を細かく仕分けたり、大量の処分手配をしたりする必要がない条件が提示されることがあり、実家の片付けに割ける時間が少ない人にとって現実的な方法になりやすいです。
仲介のように購入希望者を探す期間が不要なため、条件が合えば短期間で現金化でき、内見対応の手間もかかりません。
また、買取の場合は不動産会社が買主となるため、契約不適合責任を免責とする条件で取引できるケースが多く、古い実家でも売却後の責任を心配せずに済む点もメリットです。
一般的な仲介での売却と比べると、買取価格は相場より低くなる傾向がありますが、残置物撤去費用や固定資産税・草刈りなどの維持管理費、売却までの期間を含めた全体の負担を抑えられる場合もあります。
特に、荷物の量が多く、老朽化や長期の空き家期間によって片付けと管理の負担が大きくなっている実家では、仲介と買取の条件を具体的に比較検討するとよいでしょう。
| 選択肢 | 主なメリット | 主なデメリット |
|---|---|---|
| 一部残置物を残して売却 | 買主の生活に役立つ備え付け | 契約内容が不明確だと紛争 |
| 残置物を含めてそのまま売却 | 売主側の片付け負担を軽減 | 売却価格が下がりやすい傾向 |
| 買取で残置物ごと売却 | 片付け不要で早期現金化 | 仲介より価格が低めになりやすい |
仲介と買取、どちらを選ぶべきかの判断ポイント
仲介と買取のどちらが向いているかは、実家の立地や築年数、残置物の量、売却を急ぐ理由によって変わります。
駅に近い、土地の形が良いなど需要が見込める物件で、片付けの時間も確保できる場合は、残置物を撤去したうえで仲介で売却したほうが高値を期待しやすいでしょう。
一方で、築年数が古く買い手が付きにくい物件や、遠方に住んでいて管理が難しい物件、相続人同士で早く現金化して分けたいケースなどでは、買取のほうが総合的なメリットが大きくなることがあります。
まずは仲介での査定額と買取価格の両方を出してもらい、「片付け費用を差し引いた手取り額」と「売却までにかかる期間」で比べるのがおすすめです。
| 比較項目 | 仲介で売却 | 不動産買取 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 相場に近い価格が期待できる | 相場より低めになりやすい |
| 売却までの期間 | 数か月〜1年程度かかることも | 条件が合えば短期間で現金化 |
| 残置物の扱い | 原則として売主が撤去 | 残置物ごと引き取りの場合あり |
| 内見対応 | 必要 | 原則不要 |
| 契約不適合責任 | 売主が負うのが一般的 | 免責となるケースが多い |
残置物と費用負担で損をしないための実家売却の進め方
ステップ1:相続登記と相続人間の話し合いを済ませる
相続した実家を売却するには、まず相続登記(名義変更)を行い、相続人が所有者として登記されている必要があります。
2024年4月から相続登記は義務化されており、相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならないとされています。
また、相続人が複数いる場合は、誰が実家を相続するのか、売却代金をどのように分けるのか、残置物の処分費用を誰が負担するのかを、遺産分割協議で事前に話し合っておくことが重要です。
ここをあいまいにしたまま片付けを始めると、「勝手に捨てられた」「費用を一人だけが負担した」といった親族間のトラブルにつながりやすいため注意しましょう。
なお、相続放棄を検討している場合は、残置物を処分・売却すると相続を承認したとみなされるおそれがあるため、片付けに着手する前に司法書士や弁護士などの専門家へ相談してください。
ステップ2:貴重品・重要書類を探し、残置物の量を把握する
片付けに取りかかる前に、通帳や印鑑、権利証(登記識別情報)、保険証券、年金関係の書類、貴金属、現金などの貴重品・重要書類を最優先で探しましょう。
そのうえで、実家にどれくらいの残置物があるのかを、部屋ごとに大まかに確認しておくことが大切です。
「残すもの(形見・思い出の品)」「売れるもの」「処分するもの」の3つに分けて考えると、作業の全体像がつかみやすくなります。
各部屋の写真を撮っておくと、家族間での共有や、業者に概算見積もりを依頼する際にも役立ちます。
ステップ3:処分費用の概算と売却スケジュールを立てる
残置物の量を把握したら、自治体の粗大ごみ手数料や一般廃棄物処理手数料、遺品整理業者の見積もりなどを参考にしながら、処分にどの程度の費用がかかりそうか概算をつかんでおきます。
概算費用が分かると、売却後に手元に残る金額(手取り額)を具体的にイメージしやすくなります。
また、処分作業には日時の調整や立会いも必要になるため、売却活動の開始時期と引き渡し時期を見据えて、早めに片付けと相談のスケジュールを組むことが重要です。
一般的には、片付けに1〜2か月、売却活動に3〜6か月程度を見込んでおくと、余裕を持って進めやすくなります。
実家の状態を整理してから不動産会社へ相談すると、売却方法やスケジュールの提案も受けやすくなります。

ステップ4:処分費用と売却価格のバランスを比較する
次に、残置物の処分費用と売却価格のバランスを比較しながら、どの程度まで片付けるかを検討することが欠かせません。
例えば、自治体の粗大ごみ処理は品目ごとに数百円から数千円の手数料が設定されている一方で、大量の荷物を一度に処理する場合は、重量や体積に応じた料金となる処理施設への持ち込みや専門業者への依頼が必要になる場合があります。
これらの費用を合計し、すべてを片付けて仲介で売却した場合の手取り金額と、残置物を一部もしくは全部残したまま売る場合、または買取を利用する場合に想定される価格を比較することで、ご自身にとって納得しやすい選択肢を整理しやすくなります。
さらに、時間的な制約や体力面、空き家を維持する間の固定資産税や管理費用も踏まえて判断すると、後悔の少ない進め方につながります。
| 比較の観点 | すべて片付けて仲介 | 残置物ごと買取 |
|---|---|---|
| 売主の費用負担 | 処分費用・清掃費用が発生 | 処分費用は原則不要の場合も |
| 売主の手間 | 仕分け・業者手配・立会い | 貴重品の確認が中心 |
| 維持管理費 | 売却までの期間分かかる | 短期間で済みやすい |
| 向いている人 | 時間に余裕があり高値重視 | 早期売却・手間削減を重視 |
ステップ5:税金・特例も含めて手取り額を確認する
実家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、所得税・住民税がかかります。
ただし、一定の要件を満たす相続空き家を売却した場合には、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」により、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる場合があります。
この特例は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売却すること、売却価格が1億円以下であることなど、細かな要件が定められています。
また、売却に直接必要な費用は「譲渡費用」として差し引ける場合があり、残置物の撤去費用がこれに該当するかどうかはケースによって判断が分かれます。
適用の可否や必要書類については、税務署や税理士に確認しながら進めると安心です。
ステップ6:不動産会社への相談前に準備しておくこと
荷物や家具が残ったままの実家売却をスムーズに進めるためには、不動産会社へ相談する際の事前準備も重要です。
具体的には、残置物のおおよその量、処分にかけられる予算と期間、売却完了までに希望する時期などを整理したメモを用意しておくと、担当者との打ち合わせがしやすくなります。
あわせて、残したい家具や家電があるかどうか、買取による早期売却も検討しているか、相続人が何人いて合意が取れているかといった希望条件や状況も、最初の段階で伝えておくとよいでしょう。
こうした情報が共有されていると、残置物の扱いを含めた売却プランや費用見通しが示されやすくなり、結果として余計なトラブルや想定外の出費を抑えることにつながります。
残置物の撤去や遺品整理業者の紹介まで対応できる不動産会社を選ぶと、窓口を一本化でき、遠方にお住まいの方でも負担を減らしやすくなります。
| 事前に確認したい項目 | 確認の目的 | 不動産会社へ伝える内容 |
|---|---|---|
| 残置物のおおよその量 | 処分方法と費用の検討 | 部屋数と荷物の状況・写真 |
| 処分にかけられる予算 | 売却方法の比較検討 | 自己負担できる上限額 |
| 売却完了までの希望時期 | 片付けと売却の調整 | 引き渡し希望の目安 |
| 相続登記・相続人の状況 | 売却手続きの可否確認 | 名義・相続人の人数と合意状況 |
| 残したい設備・家具 | 付帯設備表の作成 | 残置を希望する品目 |
実家売却と残置物に関するよくある質問
Q. 実家の残置物処分費用は誰が負担しますか?
A. 売買契約で特別な取り決めがない限り、引き渡し前の残置物処分費用は原則として売主が負担するのが一般的です。
相続した実家の場合は、相続人の間で費用をどのように分担するかを、遺産分割協議の段階で決めておくとトラブルを防げます。
Q. 荷物が残ったままでも実家は売れますか?
A. はい、売却は可能です。
家具や家電の一部を残して売る方法、残置物を含めて現状渡しで売る方法、不動産会社に残置物ごと買い取ってもらう方法などがあります。
ただし、売却価格や契約条件に影響するため、売買契約書や付帯設備表で残置物の扱いを明確にしておくことが重要です。
Q. 一戸建ての実家の片付け費用はどれくらいかかりますか?
A. 遺品整理業者に依頼した場合、3LDKで20万円台〜40万円程度が目安とされていますが、荷物の量や搬出条件によっては、それ以上かかることもあります。
自治体の粗大ごみ回収や不用品買取を組み合わせることで、費用を抑えられる場合があります。
Q. 片付けを始める前に気をつけることはありますか?
A. まずは貴重品や重要書類を探し、相続人全員で残すものを確認してから処分に着手しましょう。
また、相続放棄を検討している場合は、財産を処分すると相続を承認したとみなされるおそれがあるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
Q. 仏壇や神棚はどのように処分すればよいですか?
A. 仏壇は、菩提寺などに依頼して閉眼供養(魂抜き)を行ってから処分するのが一般的です。
遺品整理業者や仏具店の中には、供養の手配から引き取りまで対応しているところもあるため、相談してみるとよいでしょう。
Q. 残置物ごと買取を依頼すると、価格はどのくらい下がりますか?
A. 物件の立地や状態、残置物の量によって異なりますが、買取価格は一般的に仲介での売却相場より低くなる傾向があります。
ただし、処分費用や維持管理費、売却までの期間を差し引いて考えると、最終的な手取り額の差が小さくなるケースもあるため、仲介の査定額と買取価格を並べて比較することが大切です。

まとめ
実家売却で問題になる残置物とは、家具・家電・生活用品・仏壇・屋外の物置など、退去後に残された私物全般を指し、原則として売主が引き渡し前に撤去・処分するのが一般的です。
処分方法には、自治体の粗大ごみ回収、家電リサイクル、一般廃棄物処理業者や遺品整理業者への依頼、不用品買取などがあり、間取りや荷物量によって費用相場や作業期間は大きく変わります。
また、荷物を残したまま売る場合でも、「一部を残して売却」「現状渡しで売却」「残置物ごと不動産買取」という選択肢があり、それぞれメリット・デメリットを比較して選ぶことが大切です。
相続登記や相続人間の話し合い、契約不適合責任、相続空き家の3,000万円特別控除などのポイントも押さえておくことで、損をしない実家売却につながります。
荷物や家具が残ったままの実家でも、不動産売却や買取の進め方を整理すれば、残置物の処分費用や手間を抑えながら売却することができます。
「自分で片付ける」「業者に依頼する」「残置物ごと売却する」など、複数の選択肢から、ご家族の状況やご予算に合う方法を一緒に検討できます。
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