空き家や再建築不可、長屋連棟、共有持分などのいわゆる訳アリ不動産を所有していて、売却を断られた経験はありませんか。
査定すら進まず、固定資産税だけが毎年かかり続ける状況に、どうしたらよいのか分からず不安を抱えている方は少なくありません。
「相続したものの誰も住まない」「兄弟で共有名義のまま何年も止まっている」「隣とつながった長屋で、どこから手を付ければいいのか分からない」——こうしたご相談は年々増えています。
しかし、こうした不動産にも出口戦略は必ずあります。
ポイントは、権利関係の調整や建築規制の確認を含めて、適切なステップで整理していくことです。
本記事では、空き家売却や再建築不可物件の売却、共有持分の買取といったテーマを軸に、売却を断られやすい物件の典型パターン、起こりやすい権利トラブル、放置した場合のリスク、そして現実的な解決策までを実務の流れに沿って解説します。
一人で抱え込まず、ハルソラ不動産にご相談くださいと自信を持ってお伝えできる理由も、あわせてお伝えしていきます。
売却を断られる訳アリ不動産の典型パターン
空き家や再建築不可物件、長屋連棟、共有持分の物件は、一般的な仲介による売却を断られやすい傾向があります。
これらに共通するのは、「利用しにくさ」と「リスクの大きさ」が表面化しやすいことです。
例えば、長年空き家となっている建物では老朽化や管理不全が進み、周辺に悪影響を及ぼすおそれが指摘されています。
その結果として、通常の実需向け市場では購入希望者が限られ、仲介会社も取り扱いを慎重にすることが多いのです。
1|長期間放置された空き家
相続してから一度も使っていない、遠方に住んでいて年に数回しか様子を見に行けない——そうした空き家は、雨漏りやシロアリ、外壁の剥落などが同時進行で進みます。
買主から見れば「入居までにいくらかかるか読めない物件」であり、価格交渉が長引きやすく、仲介会社としても成約の見通しが立ちにくくなります。
さらに、室内に家財道具がそのまま残る残置物の問題があると、引渡し条件の調整に手間がかかり、査定そのものを敬遠されることがあります。
空き家売却では「建物の状態」だけでなく「引渡しまでの段取りの重さ」が、断られるかどうかを分けています。
2|再建築不可物件
再建築不可物件は、建築基準法上の道路に必要な長さで接していないなどの理由から、新たな建物の建築が認められない土地です。
建築基準法では、道路の定義が第42条に、敷地が道路に接していなければならないという接道義務が第43条に定められており、原則として幅員4m以上の道路に敷地が2m以上接していることが求められます。
この条件を満たさない土地は建築確認が下りないため、住宅ローンの利用が難しく、将来の建替えも制限されます。
結果として一般の購入希望者には敬遠されやすく、通常の売却活動では問い合わせが伸びず、仲介の段階で扱いを断られることも少なくありません。
特に旗竿地の通路部分が途中で2m未満になっている、私道の持分がない、といったケースは調査に時間がかかるため、対応できる会社が限られます。
3|長屋連棟・テラスハウス
長屋連棟は、壁や柱、屋根など主要な構造部分を隣家と共有する形態の建物であり、部分的な空き家化や老朽化が社会的な課題として指摘されています。
一戸ごとの老朽化だけでなく、連棟全体の耐久性や防災性が低下しやすく、適切な維持管理や建替えには複数の所有者の合意が必要になる場合があります。
また、自分の区画だけを切り離して更地にしようとしても、残される隣家の構造や防水に影響するため、単独では工事を進められません。
大阪をはじめとする密集市街地では長屋の比率が高く、こうした事情から「買主は見つかっても、工事の合意が取れずに白紙になる」という事態が起こりがちです。
4|共有持分・未登記の物件
共有持分の物件では、土地や建物を複数人で持ち合うため、売却や活用の際に全員の意思確認や権利調整が必要となり、手続きが複雑化しがちです。
相続を重ねるうちに共有者が10人以上に膨らんでいたり、一部の共有者と連絡が取れなくなっていたりするケースも珍しくありません。
また、増築部分が未登記のまま、建物図面と現況が一致しないといった問題が後から判明することもあります。
こうした物件は、権利関係や将来の管理負担を嫌がられて一般市場で敬遠されやすく、「どの会社にも相談を断られた」「この先どうすればよいか分からない」といった不安や悩みを抱える所有者が多いのが実情です。
5|そのほか断られやすい要因
上記のほかにも、借地権付き建物や底地、境界が未確定の土地、隣地との越境がある土地、擁壁やがけ地に接する土地、心理的瑕疵のある物件などは、調査と説明の負担が大きく敬遠されやすい類型です。
いずれも「売れない」のではなく、「売るための前さばきが必要」というのが実態に近い表現です。
どこに引っかかっているのかを一つずつ特定していけば、価格や引渡し条件を調整することで成立させられるケースは十分にあります。

| 物件の種類 | 主な問題点 | 売却が難しい理由 |
|---|---|---|
| 空き家 | 老朽化・管理不全・残置物 | 安全性や近隣への悪影響懸念 |
| 再建築不可物件 | 接道要件未充足 | 建替え不可・融資が付きにくい |
| 長屋連棟 | 構造共有・老朽化 | 単独改修困難・防災面の懸念 |
| 共有持分物件 | 所有者多数・権利複雑 | 合意形成困難・手続き煩雑 |
| 借地権・底地 | 地主との条件調整 | 譲渡承諾や更新条件が不透明 |
| 境界未確定地 | 越境・筆界の争い | 引渡し条件を確定できない |
なぜ断られるのか|不動産会社側の事情を知る
所有者からすると「なぜ査定すらしてもらえないのか」と感じますが、断る側にも構造的な理由があります。
それを知っておくと、次にどの会社へ、どんな情報を持って相談すべきかが見えてきます。
第一に、仲介は成約して初めて報酬が発生する仕事です。
調査に何十時間かかっても、成約しなければ収入はゼロになります。
再建築不可物件や長屋連棟は、役所調査・法務局調査・隣地との折衝・私道所有者の確認など、通常物件の数倍の手間がかかるうえ、成約率も読みにくいため、経営判断として着手を見送る会社が出てきます。
第二に、説明責任のリスクがあります。
宅地建物取引業者は重要事項説明を通じて、建築制限や境界、越境、インフラの状況などを正確に伝える義務を負います。
権利関係が複雑な物件では調査漏れが後日のトラブルに直結するため、経験の少ない会社ほど慎重にならざるを得ません。
第三に、買主側の資金調達の壁です。
再建築不可物件や既存不適格の長屋には金融機関の担保評価が付きにくく、住宅ローンの利用が難しいことが多くあります。
つまり買主が現金で購入できる層に限られ、一般の販売チャネルに載せても反応が出ないのです。
この場合、必要なのは「もっと広告を出すこと」ではなく、現金決済で買える買主層に直接つなぐこと、あるいは買取という選択肢です。
つまり、断られた理由の多くは物件の価値そのものではなく、「その会社の得意分野と合わなかった」ことにあります。
訳アリ不動産の取扱い実績がある会社に相談先を変えるだけで、話が前に進むケースは非常に多いのです。
| 断られる背景 | 会社側の事情 | 所有者側の打ち手 |
|---|---|---|
| 調査負担が重い | 成約しないと報酬ゼロ | 資料を事前に揃えて相談 |
| 説明責任のリスク | 重要事項説明の調査漏れ懸念 | 実績のある専門会社を選ぶ |
| 買主に融資が付かない | 一般の販売チャネルで反応が出ない | 現金購入層・買取を検討 |
| 共有者の同意が未確認 | 契約できるか判断できない | 持分と連絡先を先に整理 |
空き家・長屋連棟・共有持分で起きる権利トラブル
空き家や長屋連棟、共有持分の不動産では、名義や登記の状況が複雑になりやすいことが大きな特徴です。
たとえば共有名義で相続したものの、一部の相続人の持分だけ相続登記がされていない事例が各地の相談事例で報告されています。
このような状態では、売却や活用を進めたくても、全員の同意が得られず手続きが進まないという問題が生じます。
さらに、誰が管理責任を負うのかあいまいなまま放置されることで、近隣からの苦情や行政からの指導につながるおそれもあります。
なお、相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請することが原則とされています。
施行前に相続が発生していた不動産も対象に含まれる点が重要で、「昔の相続だから関係ない」とは言えません。
正当な理由なく申請を怠った場合には過料の対象となり得るため、共有・未登記の状態を放置している方は早めの確認をおすすめします。
制度の詳細や運用は変わる可能性があるため、具体的な手続きは法務局や司法書士にご確認ください。
長屋連棟や連棟住宅では、隣り合う建物が壁や柱を共有しているため、切り離しや建替えの際に特有の権利トラブルが生じやすいと指摘されています。
共用壁や境界付近の構造を変更すると、残される建物の安全性に影響が出るため、実務上は隣接所有者との合意形成が不可欠とされています。
切り離し後に隣家の壁が露出する場合、防水処理や外壁の仕上げをどちらが負担するのかで折り合いが付かず、工事直前で止まることもあります。
また、庇や雨樋などが隣地に越境しているケースもあり、測量や境界確定の過程で意見が対立し、工事の計画が進まなくなる事例も報告されています。
こうした背景から、長屋連棟の建替えや切り離しでは、法律面と構造面の双方を踏まえて慎重に協議することが求められます。
共有持分については、民法上、共有物の変更や処分には共有者全員の同意が必要とされる一方、管理に関する事項は持分価格の過半数で決められるなど、行為の性質によってルールが分かれています。
2023年施行の改正民法では、所在等が不明な共有者がいる場合に、裁判所の手続きを通じてその持分を取得したり第三者へ譲渡したりできる制度が整備され、行き詰まりを解消する道が広がりました。
「連絡が取れない共有者がいるから何もできない」という前提は、今は必ずしも正しくありません。
権利関係の調整を後回しにしたまま空き家を放置すると、所有者側の負担やリスクが次第に大きくなるとされています。
さらに、建物の破損部分が落下して通行人にけがをさせるなど、管理不足が原因の事故が起きた場合には、所有者が損害賠償責任を問われるおそれもあります。
このように、権利関係の整理と日常的な管理を怠ることは、経済的な不利益だけでなく、近隣トラブルや法的責任にも直結する点に注意が必要です。
| 物件の状況 | 起きやすい権利トラブル | 放置した場合の主なリスク |
|---|---|---|
| 共有名義・未登記 | 売却同意が得られない | 処分不能・相続人間紛争 |
| 相続登記が未了 | 権利者が特定できない | 義務違反による過料の可能性 |
| 長屋連棟の切り離し | 境界・越境を巡る対立 | 工事中断・関係悪化 |
| 管理不全の空き家 | 近隣からの苦情増加 | 行政指導・税負担増加 |
| 共有者が所在不明 | 合意形成が進まない | 長期の塩漬け・維持費の累積 |
放置し続けた場合に生じる費用・税金・法的責任
「使わないけれど、置いておくだけなら費用はかからない」と考えてしまいがちですが、実際には所有し続けること自体にコストが発生し続けます。
ここでは、見落とされやすい負担を整理します。
固定資産税・都市計画税
住宅が建っている土地には住宅用地の特例があり、課税標準が軽減されています。
ところが空家対策に関する制度では、倒壊などのおそれがある空き家が「特定空家」や、放置すれば特定空家になるおそれのある「管理不全空家」に認定され、勧告を受けると、この住宅用地特例の対象から外れる可能性があります。
その場合、土地の固定資産税の負担が大きく増えることになり、放置のコストが一気に跳ね上がります。
「解体すると税金が上がるから残している」という判断が、かえって不利に働く局面もあるということです。
維持管理の実費
草刈りや樹木の剪定、通気のための巡回、火災保険料、電気・水道の基本料金、遠方であれば交通費——これらは金額こそ小さくても、毎年確実に積み上がります。
管理を業者に委託する場合も月額の費用が発生します。
10年放置すれば、解体費用に相当する金額が管理費として出ていく、というケースも珍しくありません。
損害賠償のリスク
建物の瓦や外壁が落下して通行人が負傷した、ブロック塀が倒れて隣家の車を損傷したといった場合、土地工作物の設置・保存の瑕疵として所有者が責任を問われる可能性があります。
空き家であっても管理責任は所有者に残るため、「住んでいないから関係ない」とはなりません。
火災や不法侵入、ごみの不法投棄なども、近隣との関係を悪化させる要因になります。
資産価値の目減り
建物は放置するほど傷み、解体費用が上がり、買主の想定するリフォーム費用も膨らみます。
その分だけ売却時の手取りは減っていきます。
「もう少し様子を見よう」という判断が、結果的に最も高くつく選択になりやすいのが訳アリ不動産の特徴です。
| 放置年数の目安 | 起こりやすい変化 | 負担の傾向 |
|---|---|---|
| 1〜2年 | 庭木の繁茂・軽微な雨漏り | 清掃・草刈り費用が中心 |
| 3〜5年 | 内装の劣化・害虫や小動物の侵入 | リフォーム前提の評価に転じる |
| 5〜10年 | 構造部の腐朽・外壁の剥落 | 解体前提・近隣苦情の増加 |
| 10年以上 | 行政からの指導・勧告の可能性 | 税負担増と賠償リスクの顕在化 |
売却を断られた不動産の出口戦略と権利調整の流れ
空き家や再建築不可の土地などは、一般の市場で買主が見つかりにくく、その結果として長期間放置されがちです。
しかし放置を続けると、維持管理費や固定資産税の負担が重くなり、近隣とのトラブルにつながるおそれもあります。
そのため、売却だけでなく、賃貸としての利活用、最低限の管理を継続する方法、老朽化が進んだ場合の解体など、複数の出口パターンを比較検討することが重要です。
まずは今後の利用予定と資金計画を整理し、自分に合う出口の方向性を固めることから始めるとよいです。
ステップ1|現状の棚卸しと資料集め
最初にやるべきことは、判断材料をそろえることです。
登記事項証明書(全部事項証明書)、公図、地積測量図、建物図面、固定資産税の納税通知書、境界に関する覚書、賃貸中であれば契約書——このあたりが基本のセットになります。
登記事項証明書は法務局の窓口やオンライン請求で取得でき、公図や測量図も同様です。
資料が手元にそろっているだけで、相談先での判断スピードは大きく変わります。
ステップ2|権利関係の整理
次に、どの出口を選ぶ場合でも、権利関係の整理は避けて通れません。
共有持分があるときは、全ての共有者の意思確認と合意形成を行い、その内容に沿って登記名義の整理や持分の変更などを進める必要があります。
相続が絡む場合は、相続人の範囲を戸籍で確定し、遺産分割協議書を作成したうえで相続登記を済ませます。
ここを飛ばして売却活動を始めると、買主が見つかってから振り出しに戻ることになりかねません。
ステップ3|法規制と現況の確認
あわせて、再建築不可や建ぺい率・容積率といった建築規制、道路との接道状況などを役所の窓口で確認し、建替えや解体後の利用にどのような制約があるかを把握しておくことが大切です。
用途地域、防火・準防火地域の指定、道路の種別(42条1項1号・2項道路など)、上下水道の引込状況、私道の権利関係は、価格と買主層を左右する要素です。
これらの情報を踏まえて、売却か利活用かといった方針を現実的な範囲で選び直すことで、無理のない出口戦略につなげやすくなります。
ステップ4|出口の選択と実行
選択肢は大きく、仲介による売却、専門会社への買取、賃貸や駐車場などの利活用、隣地所有者への譲渡、解体して更地化、そして相続土地国庫帰属制度の利用検討などがあります。
隣地への売却は見落とされがちですが、再建築不可の土地が隣地と一体になることで接道要件を満たす場合など、当事者双方にメリットが生まれることがあります。
それぞれ、手取り額・期間・手間・確実性のバランスが異なるため、優先順位を決めて比較することが大切です。
さらに、所有者だけで悩み続けず、公的な相談窓口や専門家を早めに活用することも有効です。
近年は、空き家対策の一環として、各自治体が空き家全般の相談窓口を設け、管理や解体、利活用に関する相談に応じる体制を整えています。
また、法律や税金の問題が関わる場合は、弁護士や司法書士、税理士など、内容に応じた専門家に相談することで、権利調整や費用面での見通しが立てやすくなります。
このように段階的に整理と相談を進めることで、売却を断られた不動産であっても、出口への道筋を具体的に描くことができます。

| 段階 | 主な確認事項 | 関わる相手 |
|---|---|---|
| 資料の棚卸し | 登記・公図・測量図・納税通知書 | 所有者・法務局 |
| 出口方針の検討 | 売却・利活用・管理・解体の整理 | 所有者・家族 |
| 権利関係の調整 | 共有者の合意形成・登記内容の確認 | 共有者・司法書士等 |
| 規制と支援の確認 | 建築規制・空き家施策・相談窓口 | 自治体窓口・専門家 |
| 出口の実行 | 売却条件・引渡し条件の確定 | 不動産会社・買主 |
共有持分を解消する5つの方法と選び方
共有名義の不動産は、共有者が増えるほど動かしにくくなります。
ここでは代表的な解消方法を整理します。どれが最適かは、共有者の人数、関係性、物件の資産価値、急いでいるかどうかで変わります。
① 共有者全員で売却する
最も手取りが大きくなりやすい方法です。
物件全体を市場価格で売却し、売却代金を持分割合に応じて分けます。
ただし全員の同意が前提となるため、一人でも反対すると成立しません。
売却価格の下限や引渡し時期について、事前に共有者間で合意しておくとスムーズです。
② 他の共有者に持分を売る/買い取る
住み続けたい共有者がいる場合に有効な方法です。
持分に応じた価格の算定と、買い取る側の資金調達が論点になります。
親族間の取引では、相場から大きく外れた価格にすると贈与とみなされる可能性があるため、価格根拠を残しておくことが重要です。
③ 自分の持分だけを第三者へ売却する
他の共有者の同意がなくても、自分の持分だけであれば単独で売却できます。
共有持分の買取を専門に扱う会社が引き受け先となるケースが一般的です。
価格は物件全体を持分割合で按分した金額より低くなるのが通常ですが、「話し合いが完全に止まっている」「早く手放して負担から解放されたい」という状況では現実的な選択肢になります。
④ 共有物分割請求
協議がまとまらない場合、裁判所に共有物分割を求める方法があります。
現物分割、代金分割(競売による換価)、賠償分割(一人が取得して他に金銭を支払う)などの方法が検討されます。
解決力はありますが、時間と費用がかかり、共有者との関係にも影響します。まずは協議や専門会社の関与による解決を試みるのが一般的です。
⑤ 所在不明共有者への対応制度を使う
連絡が取れない共有者がいる場合、裁判所の手続きを通じて、その持分を他の共有者が取得したり、第三者へ譲渡したりできる制度が整備されています。
これにより、以前は塩漬けにするしかなかったケースでも出口が開けるようになりました。
要件や手続きは専門的なため、弁護士・司法書士への相談が前提となります。
| 方法 | 向いているケース | 留意点 |
|---|---|---|
| 全員で売却 | 共有者の関係が良好 | 全員の同意が必須 |
| 持分の売買 | 住み続けたい人がいる | 価格根拠と資金調達 |
| 持分のみ第三者売却 | 協議が停止している | 手取りは低くなりやすい |
| 共有物分割請求 | 協議が決裂した | 時間・費用・関係悪化 |
| 所在不明者への制度 | 連絡不能な共有者がいる | 裁判所手続きが必要 |
再建築不可物件を「動かせる状態」にする実務
再建築不可だからといって、価値がゼロというわけではありません。
実務では、次のような手当てによって評価が変わることがあります。
隣地の一部を購入・交換して接道を確保する
敷地が道路に接する幅が1.8mで、あと20cm足りない——such a case では、隣地の一部を譲ってもらう、あるいは等価交換することで接道義務を満たせる可能性があります。
隣地所有者にとってもメリットのある条件を設計できるかが鍵になります。
但し書き(43条2項2号)許可の可能性を調べる
接道義務を満たさない敷地でも、周囲に広い空地があるなど一定の条件を満たし、特定行政庁の許可を受けられれば建築が認められる場合があります。
基準は自治体ごとに運用が異なるため、必ず建築指導課などの窓口で個別に確認が必要です。
可能性があると分かるだけでも、買主層が広がります。
私道の通行・掘削承諾を整える
私道に接している場合、通行や上下水道管の埋設工事について、私道所有者の承諾書があるかどうかで評価は大きく変わります。
承諾書がないままだと、買主はリフォームや設備更新ができないリスクを抱えるため、価格に反映されます。
売却前に承諾を取得しておくのは、費用対効果の高い準備です。
リフォーム前提・現金購入層に届ける
建替えができなくても、既存建物の範囲でのリフォームや大規模修繕は可能な場合があります。
賃貸用として保有したい投資家層や、隣地所有者は有力な買主候補です。
一般の販売チャネルではなく、この層へ直接届けられるかどうかが成約を分けます。

| 打ち手 | 効果 | 必要な確認先 |
|---|---|---|
| 隣地の一部取得・等価交換 | 接道義務を満たせる可能性 | 隣地所有者・土地家屋調査士 |
| 43条2項2号の許可 | 建築可能となる場合がある | 特定行政庁・建築指導課 |
| 通行・掘削承諾の取得 | 設備更新の不安を解消 | 私道所有者 |
| 買主層の切替え | 現金購入層に直接届く | 専門の不動産会社 |
長屋連棟・借地権付き物件の進め方
長屋連棟は、大阪をはじめとする密集市街地に多く残る住宅形態です。
愛着のある建物である一方、単独では動かしにくい構造的な事情を抱えています。
切り離しを検討する場合
切り離し工事では、隣家の壁面をどう仕上げるか、防水をどこまで施すか、工事中の生活への影響をどう補償するかが論点になります。
合意内容は口頭ではなく書面に残し、工事範囲・費用負担・完了後の状態を明記しておくことがトラブル防止につながります。
また、切り離し後に残る建物が建築基準法上どう扱われるかも、事前に確認が必要です。
連棟のまま売却する場合
切り離さずに、そのままの状態で売却する方法もあります。
この場合、買主は賃貸活用やリノベーションを前提とすることが多く、建物の躯体の状態と賃料の見込みが評価の中心になります。
隣家との覚書や、共用部分の取り決めがあると評価が安定します。
連棟全体をまとめて売却する場合
各戸の所有者が合意できるなら、連棟全体を一体で売却するのが最も高く売れる可能性があります。
敷地がまとまることで再開発の対象になり得るためです。
合意形成には時間がかかりますが、地域全体の防災性向上にもつながる選択肢です。
借地権付き建物・底地の場合
借地上の建物を売却するには、原則として地主の承諾(譲渡承諾)が必要で、承諾料の水準が交渉のポイントになります。
逆に底地を所有している場合は、借地人への売却、第三者への売却、等価交換による整理などが選択肢です。
借地と底地は、当事者同士がまとまることで双方の資産価値が上がる典型例なので、対話の糸口を探る価値があります。
| 進め方 | 想定される買主 | 合意が必要な相手 |
|---|---|---|
| 切り離して単独売却 | 実需・建替え検討層 | 隣接所有者 |
| 連棟のまま売却 | 投資家・リノベ事業者 | 原則不要(覚書は有効) |
| 連棟全体で一体売却 | 開発事業者 | 各戸の所有者全員 |
| 借地権付き建物の売却 | 実需・投資家 | 地主(譲渡承諾) |
売却で押さえたい税金・費用と使える制度
売却の判断には、手取り額の見通しが欠かせません。
ここでは代表的な費用と、空き家の売却で検討されることの多い制度に触れます。
税務の適用可否は個別事情で変わるため、必ず税理士や税務署にご確認ください。
売却時にかかる主な費用
仲介手数料、印紙税、抵当権抹消や相続登記などの登記費用、測量費、解体費、残置物の撤去費用が代表的です。
訳アリ不動産では、測量・解体・残置物処理の三つが金額を左右しやすく、事前の見積り取得が重要になります。
買取の場合は仲介手数料が不要になり、現況のまま引き渡せることが多いため、これらの費用を抑えられるケースがあります。
譲渡所得税と所有期間
売却益が出た場合には譲渡所得税・住民税がかかります。
所有期間が5年を超えるかどうかで税率が変わり、相続した不動産では被相続人の取得時期を引き継ぐのが原則です。
取得費が不明な場合には、譲渡価額の5%を概算取得費とする取扱いがあるため、購入時の契約書が残っているかどうかで税額が大きく変わります。
空き家の3,000万円特別控除
相続した空き家を一定の要件のもとで売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続の開始直前に被相続人が一人で居住していたこと、相続時から譲渡時まで事業・貸付・居住の用に供されていないこと、といった要件があります。
耐震基準を満たすようリフォームするか、家屋を取り壊して売却することが基本ですが、譲渡後に買主が耐震改修または除却を行う場合にも適用できる取扱いが設けられています。
また、相続人が3人以上の場合は控除上限が変わる点にも注意が必要です。
適用期限や要件は改正されることがあるため、検討時点の最新情報を必ずご確認ください。
自治体の補助制度
老朽危険空家の除却費用に対する補助や、空き家バンク、リフォーム補助など、自治体ごとに支援制度が用意されている場合があります。
予算の上限があり、着工前の申請が条件となることが多いため、解体を決める前に窓口へ確認するのが鉄則です。
| 項目 | 内容 | 確認先 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 仲介の場合に発生/買取では不要 | 不動産会社 |
| 解体・残置物処理 | 建物規模や搬出経路で大きく変動 | 解体業者・専門会社 |
| 測量・境界確定 | 隣接所有者の立会いが必要 | 土地家屋調査士 |
| 譲渡所得税 | 所有期間や取得費の有無で変動 | 税理士・税務署 |
| 空き家の特別控除 | 要件を満たせば譲渡所得を控除 | 税理士・税務署 |
| 解体補助等 | 着工前申請が条件の場合が多い | 自治体の空き家担当窓口 |
ハルソラ不動産に相談するメリットと相談の進め方
訳アリ不動産の相談では、空き家の管理状況や建築規制、権利関係など、多くの情報を整理しながら検討を進める必要があります。
国土交通省や各自治体が作成している空き家相談対応マニュアルでも、相談段階ごとに情報整理と方針検討を行う流れが示されています。
そのため、売却を断られた空き家や再建築不可、長屋連棟、共有持分といった物件についても、状況を丁寧に整理しながら検討できる相談窓口を活用することが重要です。
まずは所有者ご自身だけで判断せず、訳アリ不動産への対応実績を持つ専門の不動産会社へ相談することをおすすめします。
ハルソラ不動産では、売却を断られた空き家や再建築不可物件、長屋連棟、共有持分など、一般の不動産会社では取り扱いをためらうケースにも対応できる体制を整えています。
具体的には、現状の建物利用や老朽化の程度、権利関係の複雑さ、周辺環境などを総合的に確認しながら、売却・活用・管理・解体といった複数の出口候補を比較検討します。
残置物が残ったまま、境界が未確定のまま、共有者との話し合いが途中のまま——そうした「整っていない状態」からのご相談を前提にしているのが、私たちの特徴です。
また、空き家対策や密集市街地の改善に関する公的資料に基づき、法制度や支援策の動向も踏まえた提案を行うことで、所有者の負担軽減とリスク低減を図ります。
こうした相談メニューにより、他社で断られたケースでも、現実的な選択肢を一緒に探ることが可能になります。
ご相談の流れ
相談の進め方としては、まず電話や問い合わせフォームなどで概要をお知らせいただき、その後の初回面談で物件の状況や今後のご希望を詳しく伺います。
続いて現地確認を行い、建物の状態や接道状況、近隣との位置関係などを確認しつつ、権利関係の資料があれば内容を整理します。
国や自治体が示す空き家相談フローでも、現地確認と権利関係の把握を踏まえて、売却・活用・解体などの選択肢を検討する段階が設けられており、ハルソラ不動産でも同様の流れを大切にしています。
そのうえで、所有者にとって現実的かつ無理のない出口戦略を複数案提示し、必要に応じて専門家と連携しながら権利関係の調整を進めていきます。
ご相談前にご用意いただけると早いもの
固定資産税の納税通知書、登記事項証明書または権利証、公図や測量図、建物の間取りが分かる資料、相続関係が分かるもの——このうち手元にあるものだけで構いません。
「何も揃っていない」という状態でも、住所とおおよその経緯が分かればお話は始められます。
資料の取り寄せ方からご案内しますので、揃えてから連絡しようと考えて時間が過ぎてしまうより、まずはご連絡ください。
| 相談の段階 | 所有者の準備事項 | ハルソラ不動産の役割 |
|---|---|---|
| 初回相談 | 物件概要の整理 | 課題ヒアリングと方向性確認 |
| 現地確認 | 鍵や立会いの手配 | 建物状況と周辺環境の把握 |
| 役所・法務局調査 | 特になし | 建築規制と登記内容の確認 |
| 権利整理 | 登記簿等資料の収集 | 権利関係の整理と課題抽出 |
| 出口提案 | 希望条件の再確認 | 売却や活用など複数案提示 |
| 契約・引渡し | 必要書類のご準備 | 条件調整と手続きの進行管理 |
相談のタイミングは、空き家になってから長期間放置される前や、建物の傷みが進む前が望ましいとされています。
国の空き家関連資料でも、適切な管理や早期の利活用が劣化や近隣トラブルの抑制につながることが示されており、早めの相談が将来の費用や手間の抑制にも役立ちます。
ハルソラ不動産へ早期に相談することで、所有者が抱える不安や疑問を整理しながら、権利関係の調整や出口戦略を計画的に進めることができます。
相続の見通しが立った段階や、固定資産税の負担感が大きくなってきた段階などで、一度状況を共有していただくことをおすすめします。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 他社で「うちでは扱えません」と言われましたが、相談できますか。
はい、そうしたご相談こそ想定しています。
断られた理由が建築規制なのか、権利関係なのか、建物の状態なのかによって取るべき手順が変わります。
まずはどこで止まっているのかを一緒に切り分けるところから始めます。
Q. 共有者の一人と連絡が取れません。売却はあきらめるしかないですか。
あきらめる必要はありません。
所在等が不明な共有者がいる場合の裁判所手続きが整備されており、持分の取得や譲渡によって解決できる可能性があります。
ご自身の持分のみを売却するという選択肢もあります。
要件の判断には専門家の関与が必要なため、弁護士・司法書士と連携して進めます。
Q. 建物の中に家財がそのまま残っています。片付けてからでないと売れませんか。
残置物がある状態のままお引き受けできるケースが多くあります。
片付け費用をご自身で負担するか、その分を価格に反映するかは、比較したうえで有利な方を選んでいただけます。
仏壇や写真など、先にお持ち帰りいただきたいものだけ確認させてください。
Q. 再建築不可の土地は、やはり二束三文にしかならないのでしょうか。
条件次第です。
隣地との一体化で接道要件を満たせる、私道の承諾が取れている、賃貸として収益が見込める——こうした要素があれば評価は変わります。
逆に、何も調べずに「再建築不可だから」と一律に価格を下げてしまうのが一番もったいない状態です。
Q. 相続登記をしていませんが、大丈夫でしょうか。
相続登記は義務化されており、期限内の申請が原則です。
未了のままでは売却手続きも進められないため、いずれにせよ整理が必要になります。
相続人が多い、戸籍の収集が大変といった場合も、司法書士と連携して進められます。
Q. 遠方に住んでいて、現地に行けません。
現地確認は当社で対応できます。
写真や動画で状況を共有しながら、お電話やオンラインでご相談を進めることが可能です。
お立会いが必要な場面は事前にお伝えします。
Q. 相談したら必ず売却しなければいけませんか。
いいえ。
「今は売らずに管理を続ける」「数年後の相続を見据えて準備だけしておく」という結論も十分あり得ます。
選択肢を並べて比較するところまでが、ご相談の価値だと考えています。
| お悩み | まず確認すること | 取り得る選択肢 |
|---|---|---|
| 他社に断られた | 断られた具体的な理由 | 専門会社への相談・買取 |
| 共有者と連絡不能 | 登記上の共有者と持分割合 | 裁判所手続き・持分売却 |
| 残置物が多い | 処分費の見積り | 現況引渡し・費用の価格反映 |
| 相続登記が未了 | 相続人の範囲と戸籍 | 遺産分割協議・相続登記 |
まとめ
空き家・再建築不可・長屋連棟・共有持分などの訳アリ不動産は、放置すると権利トラブルや近隣への影響、固定資産税の負担増につながりかねません。
一方で、出口戦略と権利関係の調整を丁寧に進めれば、売却や利活用など現実的な解決策を選ぶことができます。
本記事で見てきたとおり、断られる理由の多くは物件そのものではなく、「調査と調整が済んでいないこと」にあります。
登記と資料を揃え、権利関係を整理し、建築規制を確認する——この順番を踏むだけで、動かせるようになる不動産は少なくありません。
ハルソラ不動産では、売却を断られた物件の権利整理から出口提案まで一貫してサポートします。
「どこから手を付ければよいかわからない」と感じた時点で、ぜひハルソラ不動産にご相談ください。
状況を丁寧にお伺いし、あなたに合った解決の道筋をご一緒に考えます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。法令・税制の内容や運用は改正されることがあり、個別の適用可否は物件やご事情により異なります。具体的な判断にあたっては、自治体の窓口や弁護士・司法書士・税理士等の専門家にご確認ください。



