
遺贈による不動産相続とは?遺言書や税金の注意点も紹介
不動産を遺贈で受け取る際には、「遺言書」や「遺贈」にまつわる税金について事前に知っておくことが大切です。相続を考えている方の中には、「どのような税金がかかるのか」「遺言書を作成したほうが良いのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。この記事では、遺贈・遺言書を活用した不動産の相続手続きや、それに伴うさまざまな税金の種類、注意点についてわかりやすく解説します。不動産相続に悩む方の疑問や不安を一つずつ解消していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
守口市・寝屋川市を中心に、大阪府北河内エリア(枚方市・交野市・大東市・門真市・四條畷市)全域で不動産を所有していらっしゃる方は、ぜひご参考にしてください。相続・遺贈に関するご相談は、地域密着の専門スタッフが丁寧にサポートいたします。
遺贈・遺言書による不動産相続の基礎知識
不動産相続をお考えの方へ向けて、「遺贈」「遺言書」「不動産」「税金」というキーワードを含め、わかりやすくご案内します。まず、「遺贈」と「相続」の違いを簡単に確認しましょう。相続は法定相続人が対象となりますが、遺贈は遺言書によって指定された人――法定相続人以外でも対象になり得ます。ですので、遺贈では相続より税負担が重くなるケースがある点は押さえておきたいところです。
相続(法定相続)
遺贈(遺言による贈与)
続いて、遺言書が必要なケースとその役割について見てみましょう。遺言書があれば、法定相続人以外にも不動産を明確に指定して譲ることができます。たとえば、「同居していた内縁の配偶者に家を渡す」「事業を継ぐ特定の人物に店舗・事務所を与える」「公益団体へ土地を寄付する」といったことも可能です。
遺言書がないと、そのような意思が反映されず、法定相続人だけが手続きを進めることになります。ご自身の希望に沿った不動産の引き継ぎには、遺言書の作成が不可欠です。
- 公正証書遺言:公証人が作成・保管。最も確実で家庭裁判所での検認が不要。
- 自筆証書遺言:自分で全文手書き。費用ゼロだが検認が必要(法務局保管制度あり)。
- 秘密証書遺言:内容を秘密にできるが検認が必要。利用は少なめ。
不動産を遺贈する場合、遺言書には地番・家屋番号を正確に記載することが重要です。記載漏れや誤記があると、対象の不動産が特定できず手続きが困難になります。作成段階から司法書士や行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
| 項目 | 相続 | 遺贈(相続人) | 遺贈(相続人以外) |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 法定相続人のみ | 法定相続人 | 第三者・法人も可 |
| 登録免許税 | 評価額の0.4% | 評価額の0.4% | 評価額の2.0% |
| 不動産取得税 | 非課税 | 非課税(包括・特定とも) | 特定遺贈は課税 |
| 相続税2割加算 | なし(原則) | なし(原則) | 配偶者・直系以外は加算 |
※2024年時点の情報を基に作成。詳細は税理士・司法書士へご確認ください。
遺贈によって不動産を取得する場合にかかる税金
①相続税
課税あり 基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人数遺贈でも贈与税ではなく相続税が適用。配偶者・直系血族以外が受け取ると2割加算がある点に注意。
②不動産取得税
3〜4% 固定資産税評価額×税率包括遺贈は非課税。特定遺贈で相続人以外が受け取る場合に課税(住宅・土地は軽減あり)。
③登録免許税
0.4〜2% 固定資産税評価額×税率名義変更(登記)の際に発生。相続人なら0.4%、相続人以外なら2.0%。評価額が高いほど差が大きい。
まず相続税ですが、遺贈による取得であっても贈与税ではなく相続税が課されます。注意したいのが「2割加算」です。取得者が故人の配偶者や直系血族以外である場合、相続税額に2割が加算される仕組みです。ご自身の立場に応じて税負担を事前に試算しておきましょう。
次に不動産取得税です。本来、不動産を取得した際に地方税として課されるものですが、遺贈による取得でも形態によって非課税になるケースと課税されるケースがあります。包括遺贈では非課税、特定遺贈(特定物件を指定した場合)で相続人以外が受け取ると課税対象になり、税率は標準で3〜4%程度です。
最後に登録免許税です。不動産の名義変更(所有権移転登記)の際に発生し、評価額に応じた税率が変わります。相続人が受け取る遺贈なら軽減税率の0.4%が適用されますが、相続人以外の場合は2%となります。評価額が高い不動産ほど、その差は大きく影響します。
| 税金の種類 | 包括遺贈(全員) | 特定遺贈(相続人) | 特定遺贈(相続人以外) |
|---|---|---|---|
| 相続税 | 課税(2割加算の場合あり) | 課税(加算なし原則) | 課税+2割加算 |
| 不動産取得税 | 非課税 | 非課税 | 課税(3〜4%) |
| 登録免許税 | 評価額の0.4% | 評価額の0.4% | 評価額の2.0% |
特定遺贈で相続人以外(内縁の配偶者・友人・団体など)が不動産を受け取る場合、登録免許税(2%)と不動産取得税(3〜4%)が両方かかる可能性があります。評価額5,000万円の不動産なら登録免許税だけで100万円。事前のシミュレーションが不可欠です。
相続税の計算方法と2割加算の仕組み
遺贈でも相続税が課税されます。相続税は「遺産総額から基礎控除を差し引いた課税遺産総額」に対して税率が適用されます。ここでは、相続税の基本的な計算の流れと、遺贈特有の「2割加算」について詳しく解説します。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
例)法定相続人が3人の場合:3,000万円+1,800万円=4,800万円まで非課税
相続税の計算は、①遺産総額の把握、②基礎控除の差し引き、③法定相続分で按分した仮税額の算出、④実際の取得割合で再配分、という手順で行います。遺贈でも同様の計算が適用されます。
| 課税遺産総額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | — |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
2割加算とは?
相続税の2割加算とは、被相続人の配偶者・父母・子ども(直系血族)以外の人が遺産を取得した場合、通常の相続税額に20%が上乗せされる制度です。遺贈の場合、兄弟姉妹・孫(代襲相続以外)・内縁の配偶者・友人・法人が受遺者であれば2割加算の対象となります。
・内縁の配偶者へ自宅を遺贈する場合
・長年世話になった甥・姪への遺贈(孫の場合は代襲相続でなければ対象)
・特定の友人・知人への不動産遺贈
・法人(社団法人・NPO等)への遺贈
一方、配偶者の税額軽減(取得額が1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い方まで非課税)は、遺贈による取得でも適用されます。また、小規模宅地等の特例(居住用宅地の評価額を最大80%減額)も条件次第で活用可能です。不動産相続の節税には、こうした特例の活用が鍵となります。
登録免許税・不動産取得税の詳細と節税ポイント
登録免許税:名義変更のたびにかかる税金
不動産を遺贈で受け取ったら、法務局で所有権移転登記を行います。この際に発生するのが登録免許税です。税率は受遺者の立場によって異なり、固定資産税評価額(※時価とは異なる)を基準に計算します。
| 受遺者の種類 | 税率 | 計算例(評価額3,000万円) |
|---|---|---|
| 法定相続人(相続人)への遺贈 | 0.4% | 12万円 |
| 法定相続人以外への遺贈 | 2.0% | 60万円 |
| 生前贈与 | 2.0% | 60万円 |
| 売買 | 2.0%(軽減あり) | 60万円(軽減適用時30万円) |
相続人以外に不動産を渡したい場合でも、包括遺贈(遺産の一定割合を指定する方式)を選べば、登録免許税が0.4%に軽減されます。ただし包括遺贈の場合は債務も引き継ぐ点に注意が必要です。
不動産取得税:遺贈の形態で大きく変わる
不動産取得税は、不動産を取得したときに都道府県から課される地方税です。固定資産税評価額に税率を乗じて計算されますが、遺贈ではその課税の有無が受け取り方法によって大きく変わります。
| 取得方法 | 不動産取得税 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 相続(法定相続人) | 非課税 | — |
| 包括遺贈(誰でも) | 非課税 | — |
| 特定遺贈(法定相続人) | 非課税 | — |
| 特定遺贈(法定相続人以外) | 課税 | 土地・住宅:3% その他:4% |
| 生前贈与 | 課税 | 土地・住宅:3% その他:4% |
土地や住宅については、取得税の軽減措置が設けられています。たとえば、新築・既存住宅の場合は1,200万円(認定長期優良住宅は1,300万円)を評価額から控除できる特例があります。また土地については「評価額×1/2」を課税標準とした上で3%を乗じる軽減措置もあります。これらを積極的に活用することで不動産取得税の負担を大幅に減らせます。
特別な税制上の注意点(みなし譲渡所得税・遺贈寄付)
みなし譲渡所得税とは?
みなし譲渡所得税とは、被相続人が生前に取得した不動産等に「含み益(取得時より価値が上がった分)」がある場合、遺贈時点で譲渡したとみなして課税される所得税のことです。被相続人が準確定申告(死後4ヶ月以内)で申告・納付する必要があります。
| 注意点 | 内容 | 納税義務者 |
|---|---|---|
| みなし譲渡所得税 | 含み益がある不動産等を遺贈する際に発生。時価と取得価格の差額に課税 | 包括遺贈→受遺者 特定遺贈→相続人(準確定申告) |
| 特定遺贈 | 不動産取得税課税(評価額×3〜4%)・登録免許税2% | 受遺者(取得者) |
| 包括遺贈 | 不動産取得税非課税・登録免許税0.4% | 受遺者 |
| 遺贈寄付(公益法人等) | 要件を満たせばみなし譲渡課税が非課税 | 要件確認が必要 |
準確定申告の期限は相続開始を知った日から4ヶ月以内です。この期限内に申告・納付を怠ると加算税や延滞税が発生します。相続人(または包括受遺者)が対応しなければならないため、死亡後は速やかに税理士へ相談することを推奨します。
遺贈寄付の非課税措置
遺贈寄付(公益法人・認定NPO法人・国・地方公共団体などへの遺贈)は、一定の要件を満たした場合、みなし譲渡所得税が非課税になる軽減措置があります。社会貢献を希望する方にとって有効な選択肢です。
- 認定NPO法人・公益財団法人などの公益性が認められた団体であること
- 遺贈寄付を受ける団体が適正な手続きで財産を使用すること
- 相続税の申告期限(10ヶ月以内)までに所定の手続きを完了すること
- 相続税の非課税措置についても、同様に適正申告が必要
包括遺贈と特定遺贈の徹底比較
遺贈には大きく分けて「包括遺贈」と「特定遺贈」の2種類があります。この違いを理解することが、税負担を最小化するための第一歩です。
包括遺贈
特定遺贈
包括遺贈は遺産全体の割合で指定するため、プラスの財産だけでなくマイナス(借入金・ローン)も引き継ぎます。一方、特定遺贈は特定の物件や金銭を指定できるため、受遺者は対象物のみを受け取ることができます。特定遺贈は「この家だけ渡したい」という場合に向いていますが、相続人以外への特定遺贈では税負担が増える点に注意が必要です。
「包括遺贈にすれば税が安くなる」とは一概に言えません。包括遺贈は債務も承継するため、被相続人に多くの借入がある場合は受遺者が不利になる可能性があります。遺贈の方法は、遺産の内容・受遺者との関係・税負担を総合的に考慮して決める必要があります。必ず税理士・司法書士・不動産の専門家に相談しましょう。
遺贈による不動産相続の手続きステップ完全版
遺贈による不動産相続を進める際は、正確な順序と確認が大切です。2024年4月から相続登記が義務化されたことで、手続きの遅れには過料が科される可能性があります。スムーズに進めるための全ステップをご案内します。
遺言書の確認と検認手続き
遺言書の種類を確認し、自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は家庭裁判所での検認が必要です(法務局保管の場合は不要)。公正証書遺言は検認不要。遺贈対象の不動産が地番・家屋番号まで正確に記載されているか確認します。
相続財産の調査・評価
不動産の固定資産税評価額を確認し、相続税申告が必要かどうか判断します。小規模宅地等の特例など税額軽減措置の適用可能性もこの段階で検討します。不動産鑑定士や税理士への相談が有効です。
準確定申告(被相続人の所得税申告)
相続開始を知った日から4ヶ月以内に被相続人の所得税の準確定申告を行います。みなし譲渡所得がある場合はここで申告・納付します。相続人(または包括受遺者)が手続きします。
登記申請(所有権移転登記)
法務局へ必要書類(遺言書・住民票・固定資産税評価証明書など)を揃えて申請します。遺言執行者が指定されている場合は執行者との共同申請または単独申請が可能です。登録免許税をこの段階で納付します。
不動産取得税の申告・納付
特定遺贈で相続人以外が受け取った場合、不動産取得税の申告が必要です(都道府県税事務所へ)。軽減措置の申請も忘れずに行いましょう。
相続税申告・納付(相続開始から10ヶ月以内)
相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎると無申告加算税・延滞税が発生します。配偶者の税額軽減や小規模宅地特例の適用は申告が前提となります。
2024年4月1日より、相続・遺贈によって不動産を取得した場合は3年以内の登記が義務となりました(遺言による取得も対象)。正当な理由なく義務を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。過去の未登記不動産も施行日から3年以内(2027年3月31日まで)に登記が必要です。早めの手続きをお勧めします。
| 手続きステップ | 期限 | 担当窓口・専門家 |
|---|---|---|
| 遺言書の検認 | 速やかに | 家庭裁判所 |
| 準確定申告 | 4ヶ月以内 | 税務署・税理士 |
| 所有権移転登記 | 3年以内(義務) | 法務局・司法書士 |
| 不動産取得税申告 | 取得後60日以内(地域差あり) | 都道府県税事務所 |
| 相続税申告・納付 | 10ヶ月以内 | 税務署・税理士 |
よくあるQ&A
まとめ
遺贈や遺言書を活用した不動産相続は、多くの方にとって人生で数度もない経験です。不動産を受け取る際には、相続税・登録免許税・不動産取得税・みなし譲渡所得税など、複数の税金が絡み合う複雑な問題が発生します。しかし、基本的なルールや注意点をあらかじめ知っておくだけで、戸惑わずに準備を進めることができます。
この記事のポイントまとめ
- 遺贈は遺言書が必須。相続より税負担が重くなるケースがある
- 相続税は遺贈でも課税。配偶者・直系以外の受遺者には2割加算あり
- 登録免許税は相続人なら0.4%、相続人以外なら2.0%と大きな差がある
- 不動産取得税は包括遺贈・相続人への特定遺贈は非課税、それ以外は3〜4%
- みなし譲渡所得税は含み益がある場合に発生。準確定申告は4ヶ月以内
- 2024年4月から相続登記が義務化。3年以内に登記が必要(違反は過料)
- 節税・手続きには税理士・司法書士との早めの連携が不可欠
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