
空家の老朽化が進んだら売却を検討すべき?費用の全体像と注意点も紹介
老朽化した空家の売却費用を徹底解説
仲介手数料・解体・税金まで全網羅
空き家の放置は維持費・固定資産税・老朽化リスクが増大します。売却前に知っておくべき全費用と処分方法を、不動産売却のプロが丁寧に解説します。
1老朽化した空家を売却する際にまず知っておくべき費用の全体像
老朽化した空き家の処分をお考えの方にとって、売却にかかる費用の全体像を把握することは最重要事項です。費用の見落としがあると、手取り額が大きく減ったり、資金計画が狂う恐れがあります。主な費用は以下の三つに大別されます。
| 費用項目 | 主な内容 | 目安金額 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 宅地建物取引業法に基づく不動産会社への成功報酬 | 取引価格×3%+6万円(税別)※段階計算あり |
| 解体費用・片付け等 | 老朽空家を更地にする場合の建物解体費・残置物処分費 | 木造1坪あたり約3万〜5万円(30坪で約90〜150万円) |
| 税金・諸費用 | 譲渡所得税、印紙税、抵当権抹消費用、測量費等 | 印紙税:数千〜数万円/譲渡所得税率:約20〜40% |
仲介手数料の概要
仲介手数料は、売却価格に応じた上限が宅地建物取引業法で定められており、たとえば400万円超では「売却価格×3%+6万円(税別)」という計算式が適用されます。また、2024年7月以降、売却価格が800万円以下の空家には特例として仲介手数料の上限が「30万円+消費税」となるケースもあります。空き家の売却では特にこの特例制度の有無を事前確認しましょう。
解体費用・残置物処分費の概要
木造住宅を解体して更地として空き家を売却するには、1坪あたり約3万〜5万円が相場です。30坪の物件では100万円前後の費用がかかります。また建物内に残った家財・残置物の処分費用が別途10〜50万円程度かかる場合もあります。このコストを把握せずに進めると思わぬ資金不足に陥る可能性があるため、複数業者から見積もりを取得することが重要です。
税金・その他諸費用の概要
印紙税・抵当権抹消登記費用・測量費用など、見落としがちな諸費用も発生します。さらに売却益がある場合は譲渡所得税が課せられます。所有期間が5年超の「長期譲渡所得」では税率約20.315%、5年以下の「短期譲渡所得」では約39.63%と倍近く差があるため、所有期間の見極めが非常に重要です。
2仲介手数料とその特例制度について
不動産を売却する際の仲介手数料は、宅地建物取引業法に基づき上限が定められています。成約価格の区分ごとに上限計算式が設定されており、売主が負担する金額は以下の通りです。
| 取引価格の区分(税抜) | 上限計算式 | 計算例 |
|---|---|---|
| 〜200万円 | 取引価格×5% | 200万円の場合:10万円 |
| 200万円超〜400万円以下 | 取引価格×4%+2万円 | 300万円の場合:14万円 |
| 400万円超 | 取引価格×3%+6万円 | 1,000万円の場合:36万円 |
速算式では400万円超の場合「売却価格×3.3%+6.6万円(税込)」で概算できます。たとえば売却価格1,000万円の場合、仲介手数料の上限は39.6万円(税込)となります。
【重要】800万円以下の空家に適用される特例制度
2024年7月から施行された改正宅建業法により、売却価格が800万円以下の空き家(低廉な空き家等)については、売主・買主双方から受け取る仲介手数料の合計上限が緩和されました。具体的には、売主から受け取る上限が「30万円+消費税(33万円)」となるケースがあります。
仲介手数料の交渉は可能?
仲介手数料の上限は法律で定められていますが、下限の規定はありません。つまり、不動産会社との交渉次第で手数料を減額してもらえる可能性があります。ただし、手数料を値引きすると不動産会社のモチベーションに影響し、積極的な売却活動が行われにくくなるケースもあるため、単純に安さだけで判断せず、サービス内容・実績・対応力を総合的に比較することをお勧めします。
3リフォーム・解体など、状態に応じた処分方法と費用目安
老朽化した空き家の処分方法は、建物の状態・築年数・立地・予算によって最適解が異なります。大きく「①そのまま売却」「②リフォーム・リノベして売却」「③解体して更地で売却」の3つに分かれます。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
◎ 初期費用が最小限
◎ 手間が少ない
✕ 買主が見つかりにくい
✕ 値段交渉されやすい
◎ 売却価格が上がりやすい
◎ 買主が見つかりやすい
✕ 高額な初期投資
✕ 投資回収できないリスク
全面改修:500〜2,000万円
◎ 更地は売れやすい
◎ 活用用途が広がる
✕ 解体費用が高額
✕ 固定資産税増加の可能性
| 処分方法 | 特徴・メリット | デメリット・注意点 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| そのまま売る(現状渡し) | 初期費用が最小。手間が少ない。「訳あり物件」として売却する方法も | 買主が見つかりにくい。価格が低くなりやすい | ほぼ費用なし〜残置物処分費数十万円 |
| 部分リフォームして売却 | キッチン・浴室など水回りの交換で印象が改善。費用対効果が高い | 改修効果が限定的。築年数が古い場合は全体的な価値向上に限界 | 数十万〜数百万円 |
| フルリノベーションして売却 | スケルトン状態から全面改修。中古戸建て市場で高値売却も可能 | 500万〜2,000万円超の高額投資。費用回収できないリスク大 | 500万〜2,000万円前後 |
| 解体して更地で売却 | 更地は流動性が高い。土地活用・建て替え目的の買主に訴求 | 解体費用が高額。住宅用地の軽減措置がなくなり固定資産税が上がる | 木造30坪で100〜150万円程度 |
| 空家バンク・自治体支援活用 | 自治体の空き家バンクへの登録で買主・利用者を探せる。補助金あり | 成約まで時間がかかる場合も。地域によって制度差が大きい | 登録自体はほぼ無料〜数万円 |
解体費用の内訳と注意点
空き家の解体費用は構造(木造・軽量鉄骨・RC造)・面積・立地・アスベスト含有の有無により大きく変わります。木造の場合は1坪あたり約3万〜5万円が目安ですが、鉄骨造では4万〜6万円、RC造では6万〜8万円程度まで上がることがあります。またアスベスト(石綿)含有建材が使われている場合、除去・処理に数十万円〜数百万円の追加費用が発生することもあるため事前調査が必要です。
リフォーム・リノベ費用の考え方
リフォームの費用対効果は、「リフォーム後の売却見込み価格」−「現状のままの売却見込み価格」>「リフォーム費用」となる場合にのみ投資が正当化されます。特に築30年以上の空き家では、設備の交換・耐震補強・断熱改修なども必要となる場合が多く、トータルで数百万円〜1,000万円超の投資が必要になることもあります。投資前に不動産会社の査定を必ず受けてから判断しましょう。
4その他にかかる処分関連の諸費用と税金のポイント
老朽化した空家の売却では、仲介手数料や解体費のほかにも見落とされがちな費用・税金があります。事前に把握し、手取り額を正確に予測しましょう。
| 項目 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する税金。軽減措置適用時は半額になる場合も | 数千円〜数万円(契約金額により変動) |
| 抵当権抹消費用 | 住宅ローン返済済みでも登記抹消が必要。登録免許税+司法書士報酬 | 1,000円+司法書士報酬(5,000〜2万円) |
| 測量費用 | 隣地との境界確定のための測量・図面作成。境界未確定の場合は必須 | 30〜80万円程度 |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益(譲渡所得)に対して課税。所有期間で税率が大きく異なる | 長期(5年超):約20.315%/短期(5年以下):約39.63% |
| 登記費用(所有権移転) | 買主側が負担する場合が多いが、状況により売主負担もあり得る | 数万円〜十数万円 |
| ハウスクリーニング費用 | 内覧を有利に進めるための清掃。必須ではないが効果的 | 3〜15万円程度 |
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税は以下の計算式で求められます。
※取得費:購入代金+購入時諸費用(不明な場合は売却額の5%を概算適用)
※譲渡費用:仲介手数料・解体費用・印紙税など売却のためにかかった費用
税額 = 譲渡所得 × 税率
・長期譲渡所得(所有5年超):所得税15%+住民税5%+復興特別所得税 ≒ 約20.315%
・短期譲渡所得(所有5年以下):所得税30%+住民税9%+復興特別所得税 ≒ 約39.63%
空家売却の強い味方「3,000万円特別控除」
相続した空き家の売却では、一定の要件を満たすと「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」として最大3,000万円の控除が受けられます。これにより多くのケースで譲渡所得税をゼロまたは大幅に圧縮できます。
相続・遺贈で取得した物件
被相続人(亡くなった方)の居住用不動産であること。
昭和56年5月31日以前に建築
いわゆる「旧耐震基準」の建物。または解体して更地で売却の場合も可。
相続開始から3年以内に売却
相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却が必要。
売却価格1億円以下
2024年以降は売主・買主の双方が共同申告する場合、3,000万円控除が可能に。
印紙税・抵当権抹消費用・測量費の詳細
印紙税は、売買契約書に収入印紙を貼ることで納める税金です。2027年3月31日まで軽減措置が適用されており、たとえば500万円超〜1,000万円以下の契約では通常1万円のところ5,000円に軽減されます。
抵当権抹消登記は、住宅ローンを完済していても抵当権の登記が残っている場合に必要な手続きです。登録免許税は1件1,000円と低額ですが、司法書士に依頼する場合は別途5,000円〜2万円の報酬が発生します。
測量費用は、隣地との境界が曖昧な場合や測量図がない場合に必要となります。隣接地が多い場合や市街地の場合は費用が高くなりやすく、一般的に30万〜80万円程度です。境界紛争がある場合はさらに費用がかかる場合があります。測量は時間もかかるため、早めに着手することが重要です。
5空家を売却するまでの具体的なステップ
空き家売却をスムーズに進めるためには、売却の流れを事前に把握しておくことが重要です。以下に一般的なステップを解説します。
現状確認・書類整理
権利証(登記識別情報)、固定資産税納税通知書、建物図面等を揃えます。相続済みの場合は相続登記が完了しているか確認しましょう(2024年4月より相続登記が義務化)。
不動産会社への査定依頼
複数の不動産会社(3社以上推奨)に査定を依頼し、価格・売却方法・担当者の対応力を比較します。老朽化した空き家の売却実績が豊富な会社を選びましょう。
処分方法の決定(解体・リフォーム・現状渡し)
査定額をもとに、解体して更地売却・リフォーム後売却・現状渡しのどれが最も有利かを判断します。費用シミュレーションを必ず行いましょう。
媒介契約の締結・売却活動の開始
仲介会社と媒介契約(専属専任媒介・専任媒介・一般媒介)を締結します。それぞれ義務・条件が異なるため、自分の売却スタイルに合ったものを選びましょう。
買主との交渉・売買契約
購入申込が入ったら価格・引き渡し条件などを交渉し、合意したら売買契約を締結します。契約時に手付金を受け取り、重要事項説明を受けます。
引き渡し・残代金の受領
残置物の撤去・鍵の引き渡しを行い、残代金を受領します。同日に所有権移転登記申請を行います。
確定申告(翌年2〜3月)
売却益(譲渡所得)がある場合は、翌年の確定申告が必要です。3,000万円特別控除などの特例を適用する場合も確定申告が必須です。
6空き家の放置が招くリスクと早期売却のメリット
老朽化した空き家をそのまま放置することは、さまざまなリスクを招くことになります。空き家問題は社会的な課題となっており、2015年に施行された「空き家等対策特別措置法(空家対策措置法)」により、行政が「特定空家」に指定した場合には固定資産税の優遇が廃止され、最終的には行政代執行による強制解体も行われます。
維持費・管理費の継続負担
固定資産税・都市計画税・火災保険料・光熱費(最低限)などが毎年かかります。年間30〜80万円程度の負担になることも。
老朽化による資産価値の低下
空き家は無人のため劣化が急速に進みます。年数が経つほど解体費用も増加し、売却価格も下落するリスクがあります。
近隣・第三者への賠償リスク
老朽化した空き家の外壁・屋根が崩落して隣家や通行人に損害を与えた場合、所有者が損害賠償責任を負う場合があります。
特定空家指定と行政指導
「特定空家」に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が廃止され、税額が最大6倍になります。是正命令に従わない場合は強制代執行も。
早期売却で得られる3つのメリット
- 維持コストゼロに:売却完了後は固定資産税・管理費などの継続費用がなくなります。
- 売却価格が下がる前に手放せる:老朽化が進むほど売却価格は下落します。早期の売却ほど有利です。
- 相続税・3,000万円控除の期限に間に合う:空家特例の適用には相続開始から3年以内という期限があります。早めの行動が不可欠です。
7よくある質問(FAQ)
まとめ|老朽化した空家の売却費用と処分方法
老朽化した空き家を売却する際には、①仲介手数料、②解体・リフォーム費用、③税金・諸費用と多岐にわたるコストが発生します。売却前に全体のコストを把握し、ご自身の状況に適した処分方法を選ぶことで、トータルの負担・手間を大幅に減らすことが可能です。
特に空家特例の3,000万円特別控除や仲介手数料特例(800万円以下)など有利な制度を見逃さないようにしましょう。また、「特定空家」に指定されるリスクや、相続登記義務化など近年の法改正にも注意が必要です。
不要な不動産の処分を後回しにせず、今すぐ複数の不動産会社に査定を依頼し、適切な情報収集と賢い判断を心がけましょう。老朽化が進む前に動くことが、最も賢明な選択です。
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はじめまして。ハルソラ不動産の紺屋嶋(こやじま)と申します。不動産会社での売却実務経験を経て、「会社都合ではなく、売主様に本当に寄り添いたい」という想いでハルソラ不動産を立ち上げました。
宅建協会の役員を兼務し、行政の不動産相談にも携わっております。「相続した実家をどうすれば良いか」「空き家のまま固定資産税だけ払い続けている」「まず査定価格だけ知りたい」など、どんなご状況でも、守口市・寝屋川市の不動産売却・買取のことはお気軽にご相談ください。
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