
市街化調整区域の売却の弊害とは?開発許可と建築許可を確認し高価売却する手法を解説
市街化調整区域の相続土地を売却する方法|開発許可・建築許可から高価売却まで完全解説
都市計画法に基づく開発許可や建築許可の有無によって、売却のハードルや評価は大きく変わります。
さらに、相続登記の状況、農地法などによる二重の規制が絡むこともあり、十分な整理をしないまま進めると、思わぬ売却の弊害につながりかねません。
本記事では、市街化調整区域の基礎から、高価売却を目指すための具体的な手法までを、できるだけ平易な言葉でわかりやすく解説します。
相続した土地を適切に評価し、後悔のない形で不動産売却を進めたい方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
市街化調整区域と相続土地の基礎知識
市街化調整区域は、都市計画法に基づき、市街化を抑制すべき区域として定められた土地です。一方の市街化区域は、すでに市街地となっている場所や、今後計画的に市街地として整備していく場所とされています。このように都市計画区域を二つに区分することにより、無秩序な市街化を防ぎ、道路や下水道などの都市基盤整備を効率的に進める仕組みになっています。相続した土地がどちらに区分されているかによって、将来の利用方法や不動産売却のしやすさが大きく変わります。
市街化調整区域の主な指定目的は、無秩序な開発を抑えつつ、良好な農地や自然環境を保全することにあります。そのため、この区域では宅地開発や建物の建築が原則として制限されており、許可なく自由に分譲や建築を行うことはできません。相続した土地が市街化調整区域に含まれている場合、一般の住宅地と比べて利用用途が限られる結果、買主候補が絞られやすく、売却の難易度や期間に影響を及ぼす可能性があります。まずは、こうした区域指定の趣旨と全体像を正しく理解することが重要です。
市街化調整区域内で開発行為を行うには、都市計画法第29条に基づく開発許可が、建築物を建てるには第43条に基づく制限への適合が求められます。特に、市街化調整区域では、第34条に定められた立地基準に該当する場合などに限って許可が検討されるため、相続した土地に建物が建てられるかどうかは、個別に判断されます。また、相続人名義への相続登記が済んでいなければ、売却契約の締結や開発許可申請の手続を円滑に進めることが難しくなります。まずは、相続登記を完了させたうえで、開発許可や建築許可の要否を整理しておくことが大切です。
- 市街化調整区域は「市街化を抑制する」ために設けられた区域
- 宅地開発・建築は原則制限(都市計画法第34条・第43条が鍵)
- 相続登記の未完了は売却・許可申請の大きな障壁になる
- 農地・山林など地目によってさらに別の法律が絡む場合がある
| 区分 | 利用目的 | 相続土地への一般的影響 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 計画的な市街地形成 | 建築しやすく不動産売却もしやすい傾向 |
| 市街化調整区域 | 市街化の抑制と環境保全 | 開発許可が必要で売却に制約が生じやすい |
| その他の都市計画区域内 | 用途地域等に応じた土地利用 | 個別規制により利用方法が変動する |
市街化調整区域の土地では、都市計画法だけでなく、農地法など他の法律による規制が重なる場合があります。たとえば、地目が農地であれば、農地法に基づく権利移転や転用の許可が別途必要となり、売却の条件や時期に影響することがあります。また、相続登記が未了のまま共有状態が複雑になっていると、権利関係の整理に時間を要し、買主側の資金調達にも支障をきたすおそれがあります。売却を検討する前に、登記事項証明書や固定資産税の名寄帳などを確認し、権利関係と規制の有無を整理しておくことが重要です。
なお、2024年4月1日より、相続登記の義務化が施行されました。相続により不動産を取得した場合、3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由のない申請漏れには10万円以下の過料が科される場合があります。相続した市街化調整区域の土地を抱えている方は、まず登記状況の確認から始めることを強くおすすめします。
市街化調整区域における土地の種類と利用実態
市街化調整区域内の土地といっても、その現況や利用状況はさまざまです。農地・山林・原野といった地目の土地から、過去に宅地として利用されてきた土地、あるいは工場・倉庫の跡地などが混在しています。相続した土地がどの種別に該当するかによって、取りうる売却戦略や買主層が大きく異なります。
① 農地(田・畑)
農地は都市計画法に加えて農地法の制約を受けます。農地を売却・転用するためには、農業委員会への届出または都道府県知事(場合によっては農林水産大臣)の許可が必要です。市街化調整区域内の農地は農地法第4条・第5条の許可なく転用できず、許可が下りるまで宅地としての売却が困難になります。また、農地転用許可と都市計画法上の開発許可の両方が必要になるケースもあり、手続きが複雑になります。
② 山林・原野
山林や原野は、農地ほど厳格な転用規制はないものの、市街化調整区域内での開発行為には都市計画法上の許可が必要です。また、森林法の規制対象となっている保安林等であれば、さらに別途の許可が必要となります。固定資産税評価額が低い一方で、管理コスト(草刈り・倒木処理など)がかかり続けることも多いため、早期売却を優先する方も少なくありません。
③ 既存宅地・既存の許可を受けた土地
かつて市街化区域に準じた扱いがあった「既存宅地」制度は現在廃止されていますが、制度廃止前に確認を受けた土地については経過措置が設けられています。また、過去に都市計画法上の開発許可や建築許可を受けて建物が建てられた土地は、条件次第で再建築が可能な場合があります。こうした土地は買主にとっての利便性が高く、相対的に高い不動産査定価格がつく可能性があります。
④ 線引き前からの宅地
都市計画区域の区域区分(「線引き」)が実施される以前から、すでに宅地として使用されていた土地については、条例等の基準によって再建築が認められる自治体があります。線引きがいつ行われたか、その時点でどのような利用がされていたかによって判断が分かれるため、市区町村の都市計画担当窓口への確認が不可欠です。

| 土地の種類 | 主な規制法令 | 売却・利用上の特徴 |
|---|---|---|
| 農地(田・畑) | 農地法+都市計画法 | 転用許可が必要。買主が農業従事者等に限られる場合も |
| 山林・原野 | 都市計画法(+森林法) | 管理コストが発生。太陽光発電等の用途での売却事例あり |
| 既存宅地(旧制度) | 都市計画法(経過措置) | 条件次第で再建築可能。高い不動産査定を期待できる場合も |
| 線引き前からの宅地 | 都市計画法+自治体条例 | 自治体によって再建築可否が異なる。窓口確認が必須 |
| 工場・倉庫跡地 | 都市計画法(用途変更) | 用途が限定されやすいが、事業者への売却で活路が開ける場合も |
開発許可・建築許可の有無で変わる売却ハードル
市街化調整区域では、原則として開発行為や建築行為は認められず、都市計画法第34条に定められた類型に該当する場合などに限って開発許可が出されます。また、造成工事などの開発行為に該当しない場合でも、建築行為そのものについて都市計画法第43条に基づく建築許可が必要になることがあります。つまり、どのような根拠で許可が出ているかにより、将来の利用や売却のしやすさが大きく異なる仕組みになっています。相続した土地についても、まずは開発許可と建築許可の有無や条文上の位置付けを整理することが重要です。
都市計画法第34条の主な許可類型
第34条に列挙された類型の代表例として、以下のようなものが挙げられます。どの類型に基づいて許可を受けているかによって、許可の承継可否や再建築の要件が異なります。
- ①農林漁業用建築物等(農家住宅・農業用倉庫など)
農林漁業従事者が自ら使用するための建築物。農林漁業者でない第三者が購入しても、同じ名目では再建築できないケースが多い。 - ②日常生活に必要な公益施設(診療所・保育所・学校など)
地域住民の日常生活に不可欠な施設。土地の用途が施設向けに限定されるため、一般住宅用地としての売却が難しくなる場合がある。 - ③既存建築物の用途変更
既存建物の用途を変更する場合に適用。変更後の用途が認められる類型に該当するか確認が必要。 - ④既存の権利者による建築物(法第34条第13号等)
区域指定前から土地を所有し続けている者など、一定の権利者に認められる建築。この権利は基本的に承継されないため、売却後に買主が同じ権利を主張できない場合がある。 - ⑤条例指定区域における開発(法第34条第11号・第12号)
市区町村の条例で指定された区域内であれば、一定の条件のもとで住宅の建築が認められる。自治体によって条件が異なるため、窓口確認が必須。
市街化調整区域では、区域指定前から宅地として利用されていた土地など、いわゆる既存宅地や既存の権利に基づく建物が認められるケースがあります。こうした土地は、区域区分前に建築された住宅や、過去に都市計画法上の許可を受けて建築された建物など、一定の要件を満たす場合に再建築が可能とされています。一方で、立地基準や周辺環境との調和といった観点から、同じように見える土地でも再建築の可否が分かれることがあります。そのため、相続した土地が既存宅地や既存権利に該当するのか、過去の許可履歴を含めて丁寧に確認する必要があります。
| 確認すべき許可内容 | 売却時に想定される影響 | 事前に取るべき対応 |
|---|---|---|
| 開発許可の有無・条文根拠 | 再開発の可否や利用用途の制限 | 許可通知書・完了公告の有無確認 |
| 建築許可と既存宅地等の扱い | 再建築可否や建物規模の制約 | 役所窓口で立地基準や許可履歴を確認 |
| 許可の承継条件と個人的要件 | 買主の利用制限・情報開示義務 | 条件の書面化と買主への丁寧な説明 |
| 条例指定区域の有無 | 一般住宅建築が認められる可能性 | 自治体窓口で条例区域の指定状況を確認 |
住宅ローン審査と金融機関の取り扱い
市街化調整区域の土地は担保評価が低くなりやすく、金融機関によっては住宅ローンの審査が厳しくなったり、そもそも融資対象外とされる場合もあります。買主側の住宅ローン利用に制約があると、購入希望者が限られ、売却条件にも影響が出るため、許可内容と金融機関の取り扱いを事前に把握しておくことが大切です。
なぜ住宅ローンが通りにくいのか
金融機関が不動産を担保に取る際、将来的に競売等による換金が可能かどうかを重視します。市街化調整区域の土地は建築制限があるため、競売にかけても買い手がつきにくいと判断され、担保価値が低く評価される傾向があります。特に再建築不可の土地は、建物が古くなっても建て替えができないため、時間の経過とともに資産価値が大きく低下するリスクがあるとみなされます。
ただし、すべての金融機関が一律に融資を断るわけではありません。地方銀行や信用金庫の中には、地域の事情に精通しており、市街化調整区域の土地でも条件次第で融資に応じるケースがあります。また、再建築可能性が高い土地であれば、メガバンクでも審査が通ることがあります。売却活動を始める前に、複数の金融機関に事前相談を行い、どのような条件であれば融資可能かを確認しておくことが、売却戦略の立案に役立ちます。
- 再建築可能性を示す書類(役所の事前確認書等)を取得し、買主へ提示する
- 地元の地方銀行・信用金庫に事前打診し、融資可能な条件を把握しておく
- 現金購入層(不動産投資家・事業者)を買主ターゲットとして想定する
- 売買代金の一部について分割払いや売主側の融資(セラーズローン)を検討する
| 状況 | 住宅ローン審査への影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 再建築可能な既存宅地等 | 比較的審査が通りやすい | 許可根拠を書面で示し買主を安心させる |
| 再建築不可・用途限定の土地 | 融資対象外になる場合が多い | 現金購入層・投資家・事業者をターゲットに |
| 農地・転用未了の土地 | 転用許可取得後まで融資不可が多い | 転用許可を先行して取得してから売却活動 |
市街化調整区域特有の売却の弊害とリスク整理
市街化調整区域では、都市計画法により新たな建築や開発が厳しく制限されているため、自由な利用がしにくい土地と評価されやすいです。さらに、上下水道や舗装道路などのインフラが十分に整備されていない場所も多く、その整備費用は原則として所有者や買主の負担となる場合が多いです。加えて、市街化区域に比べると売買件数が少なく、成約事例が蓄積しにくいため、客観的な価格水準がつかみにくいという問題もあります。その結果として、相続した土地の不動産売却を検討しても、想定より低い不動産査定価格になる可能性がある点を理解しておく必要があります。

弊害①:インフラ未整備による費用負担
市街化調整区域の土地では、上下水道・ガス・電気などのインフラが整備されていないケースがあります。特に公道に接していない土地(接道義務未充足)や、水道の引き込み工事が必要な土地は、買主が多額の整備費用を負担しなければならないため敬遠されがちです。売却前に、インフラの整備状況を確認し、必要に応じて整備費用の概算を提示できるよう準備しておくことが重要です。
弊害②:市場規模の小ささによる価格不安定
市街化調整区域の土地は取引事例が少なく、比較対象となる成約価格が見つかりにくいという特性があります。不動産査定を依頼しても、査定会社ごとに大きな価格差が生じることも珍しくありません。また、買主候補の母数が少ない市場では、売却活動に時間を要し、購入希望者が現れても価格交渉で大幅な値引きを求められやすい傾向があります。売却期間の長期化に備え、保有コスト(固定資産税・管理費)を踏まえた売却計画を立てることが大切です。
弊害③:制度変更・許可内容に関するリスク
市街化調整区域は、都市計画の見直しや周辺環境の変化により、土地利用の方針が中長期的に変化する可能性があります。地区計画の導入や区域区分の変更などにより、将来、利用可能な用途が広がる場合もあれば、逆に新たな制限や運用基準の変更によって、思うように利用できなくなる場合もあります。また、開発許可や建築許可に付された条件が守られていないと、是正指導や許可の見直しを求められることもありえます。このように、制度変更や許可内容の取り扱いによって資産価値が変動しやすいことを踏まえ、将来の不確実性を十分に意識して売却方針を検討することが大切です。
| 項目 | 具体的な内容 | 売却への影響 |
|---|---|---|
| 建築制限 | 新築や用途変更の厳格な許可制 | 利用用途が限られ価格下落要因となる |
| インフラ状況 | 上下水道・接道・ガスの未整備 | 整備費負担を嫌い買主が敬遠しやすい |
| 市場規模 | 取引事例と購入希望者の少なさ | 売却長期化と不動産査定価格の不安定 |
| 制度変更リスク | 都市計画・許可運用の見直し | 将来の資産価値が読みづらくなる |
| 放置による保有コスト | 固定資産税・管理費の継続発生 | 長期保有ほど手取り額が目減りする |
農地法・地目変更・相続登記との関係
市街化調整区域の相続土地の多くは、地目が「田」「畑」などの農地である場合があります。農地は農地法によって厳格に保護されており、農地を売却したり、農地以外の用途に転用したりするためには、農業委員会または都道府県知事の許可が必要です。この許可を得ずに農地を売買・転用した場合、原状回復命令や罰則の対象になるおそれがあります。
農地売却の2つのルート
-
A
農地のまま売却(農地法第3条許可)
農地として売却する場合は農地法第3条の許可が必要。買主は原則として農業従事者に限定され、一般の不動産購入者への売却は難しい。農業委員会への申請が必要。 -
B
転用して売却(農地法第5条許可)
農地を宅地等に転用したうえで売却する場合は農地法第5条の許可が必要。さらに市街化調整区域では都市計画法上の開発許可も別途必要になる場合がある。手続きに時間がかかるが、買主層が大幅に広がる。
地目変更の手続きと注意点
農地転用許可を取得して実際に転用工事を完了した後は、法務局に地目変更登記を申請する必要があります。地目変更を行わないと、登記上は農地のままとなり、金融機関の担保評価や買主の不安につながります。地目変更は土地家屋調査士や司法書士に依頼することが多く、費用は数万円程度が相場です。転用許可の取得から地目変更登記まで、一連の手続きをスムーズに進めるためにも、早めの専門家への相談をおすすめします。
相続登記の重要性と義務化の影響
前述のとおり、2024年4月から相続登記が義務化されました。相続登記が未了のまま売却活動を始めると、買主との売買契約の締結や農地法・都市計画法の許可申請において、申請人適格の問題が生じます。また、相続人が複数いる場合(共有相続)は、全員の同意なしに売却を進めることができません。相続登記と合わせて、共有者全員の意思確認と同意書の取得を早期に行うことが、売却をスムーズに進める第一歩です。
| 手続き | 概要 | 担当専門家 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 相続人名義への所有権移転登記(義務化対応) | 司法書士 |
| 農地転用許可申請 | 農業委員会・都道府県知事への申請 | 行政書士・農業委員会窓口 |
| 地目変更登記 | 転用完了後の法務局への地目変更申請 | 土地家屋調査士・司法書士 |
| 開発許可申請 | 都市計画法に基づく市区町村への許可申請 | 建築士・行政書士・不動産会社 |
相続した市街化調整区域を高価売却するための基本的な考え方
相続した市街化調整区域の土地をできるだけ高く売却するためには、まず開発許可や建築許可の状況を正確に把握することが重要です。都市計画法に基づく開発許可制度は、土地ごとの立地条件や利用目的によって判断が分かれるため、許可の有無や内容によって再建築の可否が左右されます。そのため、売却活動に入る前に、役所の都市計画担当窓口などで対象地に過去の許可履歴があるか、現在も有効かを確認しておくことが、価格交渉力を高めるうえで大きな意味を持ちます。こうした前提条件の整理が、売却全体の戦略を組み立てる第一歩になります。
高価売却のための5つのアプローチ
-
1
許可履歴・再建築可能性の明確化
役所窓口で開発許可・建築許可の履歴を調査し、現在も建築が認められるかを確認。「再建築可能」と証明できれば買主の安心感が高まり、不動産査定価格の向上につながる。 -
2
利用用途の拡大(条例指定区域・地区計画の活用)
自治体によっては、都市計画法第34条第11号・12号に基づく条例指定区域に土地が含まれており、一般住宅の建築が認められる場合がある。地区計画の策定動向も確認し、将来的な用途拡大の可能性をアピールする。 -
3
地目変更・農地転用による価値向上
農地を宅地に転用することで、買主層が農業従事者に限定されなくなり、一般の個人・法人への売却が可能になる。転用手続きのコストと時間をかけてでも、売却価格の大幅上昇が期待できる場合がある。 -
4
分筆による需要への対応
広大な土地をそのまま売り出すより、需要の高い面積・形状に分筆して売り出すことで、買主の選択肢が広がる。ただし分筆費用(測量・登記)がかかるため、費用対効果を事前に試算することが重要。 -
5
税負担と売却タイミングの最適化
相続税の申告期限(10か月)や、譲渡所得税の特別控除の適用要件(3年以内の売却等)を意識して売却タイミングを検討。固定資産税の年額も踏まえ、保有コストが膨らむ前に早期売却を優先するケースも多い。
次に、対象地で実際にどのような用途が認められる可能性があるかを、開発許可制度の運用基準や都市計画法第34条・第43条の枠組みを踏まえて検討することが大切です。例えば、自己居住用の住宅や一定の公益性を有する施設など、地域ごとに認められ得る建築行為の類型が整理されています。このとき、現況の地目が農地であれば農地法上の制限が加わる場合があり、宅地としての利用を目指すなら、地目変更の要否や手続きの負担も見通しておく必要があります。さらに、土地の分筆や一部売却により需要の高い面積・形状に整えることで、買主の使い勝手を高め、結果として売却価格の向上を期待できる場合もあります。
また、高価売却を目指すうえでは、売却価格の設定と売却時期を、相続税や固定資産税との関係から総合的に検討することも欠かせません。市街化調整区域の土地は一般に評価額が低めとなる傾向がある一方で、長期保有に伴う固定資産税や管理コストが継続的に発生するため、保有し続けるメリットとデメリットを比較する必要があります。相続税の申告時には財産評価基本通達等に基づく評価が用いられるため、売却見込みや利用制限の有無が評価額と納税額に影響し得ます。このように、税負担と将来の資産価値の見通しを踏まえながら売却タイミングを検討することで、手取り額の最大化につながる可能性があります。
| 確認・検討事項 | 概要 | 高価売却への効果 |
|---|---|---|
| 開発許可・建築許可の履歴確認 | 役所窓口で許可状況や再建築可否を確認 | 再建築可能性を示し買主の安心感向上 |
| 用途・地目・分筆の検討 | 利用可能用途の整理と地目変更や分筆の是非検討 | 実需ニーズに合う形への調整で需要拡大 |
| 農地転用許可の先行取得 | 売却前に農地転用許可を取得し宅地化 | 買主層拡大と不動産査定価格の向上 |
| 税負担と売却時期の見直し | 相続税評価と固定資産税負担を比較検討 | 保有コストを抑えつつ手取り額最大化 |
| 特殊需要層へのアプローチ | 太陽光・資材置き場・農業法人等への売却 | 一般市場では評価されにくい土地でも成約可能 |
売却方法の選択肢を比較する
市街化調整区域の相続土地を売却する際には、「誰に売るか」「どうやって売るか」を慎重に選択することが、最終的な手取り額を大きく左右します。主な売却方法の特徴とメリット・デメリットを以下に整理します。

①仲介売却(不動産会社に依頼)
最も一般的な売却方法です。不動産会社が買主を探し、売買契約の仲介を行います。市場価格に近い売却価格が期待できる一方、売却までの期間が長くなりやすいという特性があります。市街化調整区域の取引実績がある不動産会社を選ぶことが重要で、法的規制の説明能力や許可関係の知識が豊富な会社に依頼することが高価売却への近道です。
②不動産会社への直接売却(買取)
不動産会社が直接買主となり、土地を買い取る方法です。仲介と比べると売却価格は低くなる場合が多いですが、早期に現金化できるメリットがあります。固定資産税の支払いが続く中、早く手放したい場合や、管理の手間を省きたい場合に向いています。買取専門の不動産会社の中には、市街化調整区域の土地を積極的に買い取っている会社もあるため、複数社に査定を依頼して比較することをおすすめします。
③隣地所有者・地域住民への売却
市街化調整区域の土地は、隣地を所有する農家や地元住民が購入する可能性があります。農地であれば、すでに農地を所有する農業従事者への売却が最もスムーズです。また、隣地と合わせることで土地の価値が高まるケースもあるため、まずは隣地所有者に売却意思を打診してみることも一つの方法です。
④特殊用途での売却(太陽光・資材置き場・農業利用等)
市街化調整区域の土地は、住宅建設には不向きでも、太陽光発電システムの設置(農地転用許可が必要な場合あり)、資材置き場・駐車場としての賃貸・売却、農業法人への農地売却など、特殊な需要層が存在します。一般の不動産市場では評価されにくい土地でも、特定のニーズに合致すれば想定以上の価格で成約するケースがあります。
| 売却方法 | メリット | デメリット | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 仲介売却 | 市場価格に近い価格が期待できる | 売却期間が長くなりやすい | 再建築可能な土地・急がない場合 |
| 不動産会社による買取 | 早期に現金化できる | 売却価格が低くなりやすい | 早く売りたい・管理が負担な場合 |
| 隣地・地域住民への売却 | 交渉がスムーズになりやすい | 買主候補が限られる | 農地・農村部の土地 |
| 特殊用途での売却 | 独自ニーズで高値成約の可能性 | 買主探しに時間がかかる | 広大な土地・農地転用済の土地 |
よくあるご質問(FAQ)
まとめ
市街化調整区域の相続土地は、開発許可や建築許可の有無、農地法など複数の規制が重なることで、売却のハードルやリスクが高まりやすい特殊な不動産です。一方で、許可履歴の確認や再建築性の整理、利用できる用途の洗い出し、地目変更や分筆の工夫、税負担と売却タイミングの見直しなどを行うことで、高価売却につなげられる可能性も十分にあります。
本記事のまとめ
- 市街化調整区域は原則として開発・建築が制限された区域。相続した土地がどの種別かを早期に把握することが大切
- 相続登記の義務化(2024年4月施行)に対応し、まず登記を完了させる
- 開発許可・建築許可の許可根拠と承継可否を役所窓口で確認する
- 農地の場合は農地転用許可(農地法第5条)と地目変更登記を先行させると売却価格向上につながる
- 住宅ローン審査に影響するため、再建築可能性を事前に書面で確認・開示する
- 売却方法は仲介・買取・隣地交渉・特殊用途の中から、土地の特性と急ぎ度合いで選ぶ
- 固定資産税・管理コスト・相続税を踏まえ、早期売却が手取り最大化につながる場合が多い
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