
中古マンションの選び方とは?管理状態や大規模修繕履歴管理費滞納を押さえ失敗しないポイントを解説
家族で安心して暮らせる
中古マンションの選び方
管理状態・大規模修繕・管理費滞納を徹底チェック
中古マンション購入で後悔しないための3つの重要ポイントを徹底解説。管理状態の見極め方から修繕積立金の水準確認、滞納リスクの把握まで、ご家族が長く安心して暮らせる物件選びのノウハウをお伝えします。
ご家族で中古マンションのご購入を検討するとき、価格や間取りに目が行きがちですが、「管理」の良し悪しを見落としてしまうと、入居後に思わぬトラブルや追加出費に悩まされることがあります。実際、中古マンション購入で後悔している方の多くが「管理状態をきちんと確認しなかった」と振り返っています。価格が安くても、管理が行き届いていないマンションは将来的な修繕費や資産価値の低下というリスクをはらんでいます。
では、どこを見れば失敗しないのでしょうか。この記事では、「管理状態」「大規模修繕履歴」「管理費滞納」の3つのポイントを軸に、ご家族が安心して暮らせる中古マンションの選び方をわかりやすく解説します。子育てや将来の住み替え、老後の暮らしまで見据えて、住み心地と資産価値を両立させるための具体的なチェックポイントを、一緒に確認していきましょう。
購入前の不安を整理し、自信を持って次の一歩を踏み出すための参考にしてみてください。
家族で安心して暮らせる中古マンションの選び方
立地・間取り・環境の基本条件を確認する
中古マンションを検討するときは、まず通勤や通学のしやすさといった立地条件、家族構成に合った間取り、生活施設や教育環境など周辺環境の基本条件を確認することが大切です。近隣に保育園・小学校・病院・スーパーが揃っているかどうかは、子育て世代にとって特に重要な確認ポイントです。駅からの距離や交通アクセスも、日常生活のストレス軽減に大きく影響します。
しかし、これらが良さそうに見えても、建物の管理が不十分であれば、将来の暮らしや出費に大きな影響が出るおそれがあります。立地は後から変えられませんが、管理状態の悪化は長期的な住環境の質を徐々に蝕んでいきます。「立地が良くて価格も手ごろ」という物件に飛びつく前に、必ず管理状態を総合的に評価することをおすすめします。
ポイント:近年は、国土交通省や関連団体が管理状態を評価する「マンション管理適正評価制度」を整備しており、管理の良し悪しが資産価値に影響することも示されています。そのため、立地や間取りと同じくらい、管理の状況を重視して総合的に判断することが、家族で安心して暮らすための第一歩になります。
3つの重要指標を総合的に判断する
中古マンション選びで失敗しないための重要な指標として、「管理状態」「大規模修繕履歴」「管理費滞納」の3点が挙げられます。管理状態が良いということは、日常の清掃や点検、管理組合の運営が適切に行われていることを意味し、建物や設備の劣化を抑えやすくなります。エントランスや共用廊下の清潔さ、ゴミ置き場の整理整頓状況などは、日常管理の質を反映する指標として多くの専門家が注目しています。
さらに、共用部分の修繕履歴が整理され、直近の大規模修繕工事の内容や時期が把握できるマンションは、将来の修繕計画も立てやすく、予期せぬ多額の負担を避けやすいとされています。一方で、管理費の滞納が多いマンションは、必要な修繕やサービスに支障が出るおそれがあるため、評価制度でも重要なチェック項目として位置づけられています。
長い時間軸で暮らしを設計する
ご家族で中古マンションを選ぶ際には、今現在の暮らしだけでなく、子育て期から老後までの長い時間軸で考えることが欠かせません。例えば、将来的なバリアフリー改修のしやすさや、売却や住み替えを見据えた資産価値の維持には、管理状態の良さと計画的な修繕が欠かせないと専門家も指摘しています。
特に子育て世代にとっては、子どもが独立した後や定年退職後の暮らし方まで見据えた物件選びが重要です。エレベーターの有無・バリアフリー対応・管理員の常駐体制など、高齢になっても快適に暮らせる環境かどうかを若いうちから意識しておくことで、後の住み替えコストを抑えることができます。
さらに、家計に無理のない範囲で管理費や修繕積立金が設定され、かつ滞納への対応も含めて健全に運営されている管理組合であれば、長期的な負担を見通しやすくなります。このように、暮らしやすさと資産価値の両立を意識しながら、ご家族の将来設計に合ったマンションを選ぶことが大切です。
中古マンション購入のメリット:新築マンションに比べて価格が抑えられるため、同じ予算でより広い間取りや好立地の物件を選べる可能性があります。また、実際の管理状態を入居前に確認できる点や、周辺環境・住人の雰囲気を事前に把握しやすい点も大きなメリットです。管理が良く修繕積立金が適切なマンションは、資産価値も安定しやすい傾向があります。
| 確認項目 | 重視する理由 | 家族への影響 |
|---|---|---|
| 管理状態の良否 | 建物劣化の抑制・住環境の維持 | 安全性・快適性・資産価値の安定 |
| 大規模修繕履歴 | 将来の負担把握・計画性の確認 | 予期せぬ一時金負担の回避 |
| 管理費滞納状況 | 組合運営の健全性・財務の安定 | 修繕遅延・サービス低下の防止 |
| 立地・周辺環境 | 日常生活の利便性・通学区域 | 生活の質・教育環境 |
| 間取り・広さ | 家族構成に合った居住スペース | 将来の家族変化への対応力 |
中古マンションの管理状態を見極めるチェックポイント
共用部分の目視チェックが第一歩
中古マンションの管理状態を確認する際には、まずエントランスや共用廊下の清掃状況を丁寧に見ることが大切です。床や壁の汚れ、郵便受けまわりのちらかり具合などは、日常清掃の頻度や入居者のマナーを反映しやすい部分です。あわせて、ゴミ置き場のにおい・分別状況、自転車置き場の整列具合や放置自転車の有無も、管理の質を判断する重要な手掛かりになります。
内見の際には、できれば平日と休日の両方に訪問することをおすすめします。平日の日中は管理員の対応や清掃状況を確認でき、休日は住人の生活感や共用部の実際の使われ方を把握しやすくなります。また、エレベーターの中や階段の踊り場なども、普段の管理水準が現れやすいポイントです。複数の共用部分を総合的に見て、清掃や点検が継続的に行われているかを確認すると安心です。
- エントランスホールの床・壁・照明の清潔さ
- 郵便受けまわりのチラシ放置・乱雑さの有無
- ゴミ置き場の分別ルール遵守と清潔さ
- 自転車・バイク置き場の整理整頓状況
- エレベーター内の清掃状況と設備の状態
- 共用廊下の照明・消灯タイマーの機能確認
- 駐車場の区画ラインや整備状態
- 植栽の手入れ・外構の維持管理状況
管理組合の書類から運営の質を読み取る
書面から読み取れる管理組合の運営状況を確認することが重要です。管理規約では、管理費や修繕積立金の納入ルール・使用細則・禁止事項などが明確に定められているかを見ます。規約が古く改定されていない場合、現在の生活様式や法律に対応していない可能性もあるため、最終改定日も確認しておきましょう。
総会議事録からは、総会が毎年開催されているか、議案の審議が活発か、滞納や修繕に関する議題への対応方針が記録されているかが分かります。理想的には過去3〜5年分の議事録を確認し、同じ問題が繰り返し議題に上がっていないか、管理組合が課題に対して前向きに取り組んでいるかを見極めることが大切です。
加えて、長期修繕計画が作成されており、主要な設備更新や大規模修繕の予定と資金計画が整合しているかを確認できれば、管理組合が計画的に運営されている可能性が高いといえます。長期修繕計画は5年ごとに見直すことが望ましいとされており、最新版がいつ作成されたものかも確認ポイントの一つです。
管理費・積立金の納入ルール、禁止事項、最終改定日などを確認する
過去3〜5年分を読み込み、課題への対応姿勢と組合の活動状況を把握する
計画の有無・最終更新日・資金との整合性を確認する
決算書・収支報告書で資金の収支状況と残高水準を把握する
内見・資料請求時に確認すべき質問リスト
内見や資料請求の場面では、管理に関する質問をあらかじめ用意しておくと、より具体的な運営状況を把握しやすくなります。「何か聞いておくことを忘れた」という後悔を防ぐために、以下のような質問をチェックリストとして持参することをおすすめします。
- 直近の共用部分の修繕内容・頻度はどのくらいか
- 長期修繕計画はあるか・いつ最後に見直されたか
- 管理費・修繕積立金の滞納状況と対応方針
- 清掃・設備点検の実施体制と頻度
- 共用部分で問題が発生した際の連絡先と対応スピード
- 管理員の常駐時間・緊急時の対応体制
- 過去5年間で大きな修繕やトラブルはあったか
- 住民間トラブル(騒音・ペット・駐車)の状況
このように具体的な質問を通じて、日頃から透明性の高い情報開示と、ルールに基づく運営が行われているかどうかを見極めることが大切です。質問に対して管理会社や売主が曖昧な回答しかできない場合、情報管理が不十分な可能性も考慮に入れましょう。

| 確認対象 | 主なチェック内容 | 押さえたいポイント |
|---|---|---|
| 共用部分の状態 | 清掃状況・設備の劣化具合・住民マナー | 継続的な日常管理の水準 |
| 管理組合の書類 | 管理規約・総会議事録(3〜5年分) | ルール運用と意思決定の透明性 |
| 修繕と資金計画 | 長期修繕計画の内容・見直し頻度 | 計画的な維持管理と資金確保 |
| 管理員の体制 | 常駐時間・緊急対応窓口 | トラブル発生時の迅速な対応力 |
大規模修繕履歴と修繕計画で失敗しないポイント
大規模修繕工事の履歴を必ず確認する
中古マンションのご購入前には、これまでに実施された大規模修繕工事の履歴を確認することが大切です。一般的に大規模修繕は、おおよそ12〜15年ごとを目安として計画されることが多いとされています。そのうえで、いつ・どの範囲を・どのような内容で工事したのかが、議事録や工事報告書などに整理されているかを確認します。
大規模修繕工事の主な対象としては、外壁の塗装・補修、屋上や屋根の防水処理、共用廊下・バルコニーの床面防水、給排水管の更新などが挙げられます。これらの工事が適切な時期に実施されているかどうかは、建物の耐久性に直結します。特に給排水管は、老朽化が進むと漏水による居住部屋の被害につながることもあるため、更新時期を必ず確認しましょう。
注意:築20年以上の中古マンションで大規模修繕の履歴が一度も確認できない場合は要注意です。適切な維持管理が行われていなかった可能性があり、将来的に大規模な補修が必要となり、多額の一時金が徴収されるリスクがあります。
修繕積立金の水準と残高を徹底確認
次に、修繕積立金の水準と残高、そして長期修繕計画の内容をあわせて確認することが重要です。国土交通省のガイドラインでは、専有面積あたりの修繕積立金の目安が示されており、あまりにも水準が低い場合は将来の一時金負担や積立金の大幅な値上げにつながるおそれがあります。
修繕積立金が著しく低い場合には、「修繕積立金の段階的増額スキーム」が採用されているケースもあります。これは、当初の積立金を低く設定して段階的に値上げするものですが、将来の増額幅が大きすぎると家計を圧迫するリスクがあります。売主や管理会社に、今後の積立金増額計画について明確に説明を求めることが大切です。
また、長期修繕計画で大規模修繕工事の時期や内容が具体的に検討されているかどうかも、資産価値の維持に影響する要素です。現在の積立状況と計画されている工事費用のバランスを見ながら、ご家族の家計に無理のない範囲かを確認しておくことが安心につながります。
- 修繕積立金の月額が国土交通省ガイドラインの目安水準と比較して適正か
- 修繕積立金の総額(残高)が今後の計画工事費用をまかなえる水準か
- 直近の大規模修繕から次回の修繕まで、計画と資金が整合しているか
- 将来の積立金増額・一時金徴収の計画がないか、あった場合その規模
- 給排水管・エレベーター・外壁・防水など主要設備の更新時期
修繕工事の質と業者選定もチェック
大規模修繕工事の実施履歴を確認する際には、「いつ実施したか」だけでなく、「どのような業者に発注し、どのような内容で行ったか」も重要な確認ポイントです。適正な競争入札を経て業者が選定されているか、工事の施工監理が第三者によって行われたかどうかは、工事の品質に大きく関わります。
一部のマンションでは、管理会社が系列の施工業者に随意契約で発注するケースもあり、工事費が割高になっていたり、施工品質が適切に担保されていないケースも報告されています。総会議事録に業者選定の経緯や複数者の見積もり比較が記録されているマンションは、透明性が高く信頼できる管理が行われている証拠といえます。
不安な場合は専門家へ早めに相談
不安な点がある場合には、早めに専門家へ相談することも失敗を避けるための有効な方法です。マンション管理士や建築士、不動産コンサルタントなど、第三者の専門家に「マンション管理状況診断」を依頼することで、客観的な評価を得ることができます。その際には、長期修繕計画書、直近数年分の総会議事録、工事報告書、決算書などの資料をそろえておくと、客観的な助言が得やすくなります。
活用できる公的制度:「マンション管理適正評価制度」は、管理状態を5段階で評価し公表する仕組みで、購入前の参考情報として活用できます。また「マンションすまい・る債」(住宅金融支援機構)など、修繕積立金の積み立てを支援する制度も整備されています。登録済みのマンションは評価結果を事前確認できるため、積極的に活用しましょう。
| 確認項目 | 見るべき資料 | チェックの着眼点 |
|---|---|---|
| 大規模修繕の実施履歴 | 総会議事録・工事報告書 | 実施時期・工事範囲・業者選定方法 |
| 修繕積立金の水準 | 収支予算書・決算書 | 月額・残高・国の目安との比較 |
| 将来の修繕計画 | 長期修繕計画書 | 工事内容・費用見込み・資金の整合性 |
| 給排水管の状況 | 工事報告書・管理員への聞き取り | 更新時期・漏水履歴の有無 |
| 増額・一時金計画 | 長期修繕計画書・総会議事録 | 将来の家計負担の試算 |
管理費滞納状況と家計への影響を確認する方法
滞納が引き起こすリスクを理解する
管理費や修繕積立金の滞納が多いマンションでは、必要な修繕工事が先送りされ、建物や設備の劣化が進みやすくなると指摘されています。その結果、資産価値の下落や、将来の一時金徴収や管理費等の大幅な値上げにつながるおそれがあります。また、滞納住戸への対応をめぐって管理組合内の対立が生じ、住民同士の人間関係が悪化する事例も報告されています。
管理費滞納の問題は、単に「一部の住人のモラル問題」にとどまらず、マンション全体の財務健全性と資産価値に直結します。特に長期滞納が発生し、法的手続きに至るようなケースでは、管理組合の事務負担が増大し、本来の管理業務に支障が生じることも少なくありません。ご家族で長く安心して暮らすためには、管理費滞納の有無と対応状況を事前に確認することが大切です。
滞納リスクのサイン:修繕積立金が年々下落している・総会が数年開催されていない・管理費が異常に安い・築年数の割に外観が傷んでいる——こうした状況が重なっている場合、管理費滞納を含む組合運営の問題を疑う必要があります。
公的な評価制度における滞納の位置づけ
管理費等の確実な徴収は「適正なマンション管理の根幹」と位置づけられており、公的な評価制度でも評価項目として明示されています。管理費や修繕積立金の滞納戸数や滞納額、滞納期間などが多い場合、評価が減点される仕組みになっていることからも、滞納が管理水準と資産価値に直結することが分かります。
さらに、全国的な調査でも、多くのマンションで一定数の滞納が発生しており、放置すると法的措置が必要になるケースもあるとされています。中古マンションを選ぶ際には、「滞納はあるのか」「どの程度か」「どのように回収しているか」を冷静に見極めることが重要です。
具体的な確認方法と資料の読み方
具体的な確認方法としては、管理組合の決算書や収支報告書で「滞納管理費」「未収金」などの項目を確かめ、金額や戸数の規模感を把握することが有効です。一般的な目安として、未収金が月額管理費収入の1〜2ヶ月分以内であれば比較的健全、それ以上になる場合は要注意とされています。
また、総会議事録からは、滞納者への督促状送付、分割納付の合意、法的措置の検討など、管理組合がどこまで対応しているかを読み取ることができます。議事録に滞納への積極的な対応方針が記録されているマンションは、運営の健全性が高い傾向があります。
公的なマンション管理適正評価制度に登録されている場合は、管理費等の滞納状況や対応が評価項目として整理されているため、参考情報として確認しておくと理解が深まります。内見や資料請求の際には、不動産会社を通じて可能な範囲で「直近の決算書」「総会議事録」などの閲覧を希望し、疑問点は必ず質問する姿勢が大切です。
- 決算書・収支報告書の「未収金」「滞納管理費」の金額と推移
- 滞納戸数・滞納期間の長さ(長期滞納が数戸以上あれば要注意)
- 総会議事録での滞納への対応記録(督促・法的手続きの実施状況)
- 管理会社が滞納回収代行を行っているか否か
- マンション管理適正評価制度の評価スコア(登録マンションのみ)
家計計画との総合的なバランス判断
最後に、ご家族の家計計画と管理費・修繕積立金とのバランスも慎重に考える必要があります。調査結果によれば、中古マンション購入後に「修繕積立金の将来の増額」や「想定以上の負担」に後悔している方も少なくありません。
一般的な平均水準だけで判断せず、今後の長期修繕計画や物価・人件費の動向も踏まえ、将来の値上げや一時金徴収があっても家計が破綻しないかを試算しておくと安心です。住宅ローンに加えて教育費や老後資金も見据えながら、「毎月のランニングコストを含めても無理のない水準か」を冷静に確認し、ご家族でよく話し合って検討することが大切です。
毎月の支出として、住宅ローン返済額・管理費・修繕積立金・駐車場代・固定資産税(月割)をすべて合算した「実質的な住居費」が、手取り収入の25〜30%以内に収まるかどうかが一つの目安とされています。将来の積立金増額も考慮した上で、ゆとりある家計計画を立てることが、長期的な安心感につながります。

| 確認項目 | 見る資料 | 注目したいポイント |
|---|---|---|
| 滞納額の水準 | 決算書・収支報告書 | 未収金の金額と月収入比 |
| 滞納戸数と期間 | 決算書・補足資料 | 滞納率と長期滞納の有無 |
| 回収への取り組み | 総会議事録 | 督促・分割合意・法的措置の方針 |
| 管理費の増額計画 | 長期修繕計画書・予算書 | 将来の家計負担増の見通し |
中古マンション購入でよくある失敗事例と対策
失敗事例①:修繕積立金が足りず一時金を徴収された
購入時の修繕積立金が低く設定されていたため、大規模修繕の時期に資金不足が発生し、全戸から数十万円単位の一時金が徴収されてしまったというケースは決して珍しくありません。特に、購入時に修繕積立金が「月1万円以下」と非常に安いマンションは、長期修繕計画との資金ギャップが生じやすいため注意が必要です。
対策:購入前に長期修繕計画書と積立金残高を確認し、今後30年分の修繕費用との収支シミュレーションを確認しましょう。管理会社や管理組合に「今後積立金の増額や一時金の徴収計画はあるか」と直接質問することも有効です。
失敗事例②:管理組合が機能していなかった
総会が数年間開催されず、修繕の意思決定が行われていないマンションを購入してしまい、老朽化が進む一方で何も対処されないという事態に陥るケースもあります。区分所有法では、管理組合の設置と総会の定期開催が義務付けられていますが、実態が伴っていないマンションも存在します。
対策:購入前に過去5年分の総会議事録を確認し、毎年開催されているか・重要事項が審議されているかをチェックしましょう。管理組合が実質的に機能していないマンションは購入を避けるか、大幅な価格交渉の余地があると考えましょう。
失敗事例③:周辺環境の変化を見落とした
購入時は良好だった周辺環境が、近隣の再開発・商業施設の撤退・学区の変更などによって大きく変化し、子育て環境や生活利便性が低下してしまったという事例もあります。また、近隣に大規模な建設工事が予定されていることを購入後に知り、日当たりや眺望が失われたケースも報告されています。
対策:購入前に市区町村の都市計画情報や開発計画を調べ、周辺の将来的な変化を把握しておきましょう。不動産会社に「周辺で予定されている大きな開発・変更はあるか」と確認することも重要です。
失敗事例④:隠れた騒音・近隣トラブルを見逃した
内見では気づかなかった騒音問題(上階の足音・隣戸の生活音)や、ペット・駐車場を巡る住民トラブルが日常的に発生しているマンションを購入してしまい、入居後のストレスが大きかったというケースも多く見られます。管理組合が住民間トラブルに対して適切に介入できているかどうかも、管理の質を測る重要な指標です。
対策:内見を平日・休日・夜間の複数回実施することで、実際の生活環境を体感しましょう。管理規約に騒音・ペット・楽器演奏に関するルールが明記されているか、過去の議事録にトラブル対応の記録があるかも確認ポイントです。
購入判断の最終チェックリスト:管理状態・大規模修繕・滞納の3点確認 / 長期修繕計画と積立金残高の整合性 / 家計に無理のない総住居費の試算 / 将来の増額・一時金リスクの把握 / 専門家への相談(必要に応じて)——これらをすべてクリアした上で、ご家族で十分に話し合って決断することが理想的です。
専門家に相談するタイミングと活用方法
どんな専門家に相談すべきか
中古マンション購入においては、さまざまな専門家の力を借りることが、失敗リスクを大幅に減らす近道です。それぞれの専門家が担う役割は異なるため、状況に応じて適切な専門家を選びましょう。
- マンション管理士:管理組合の運営・長期修繕計画・滞納問題など、管理面全般のアドバイスを得られます
- 建築士・一級建築士:建物の構造・劣化状況・修繕必要箇所の専門的な診断を受けられます
- 不動産コンサルタント(公認):物件価格の妥当性・資産価値・市場動向など総合的な観点からアドバイスが得られます
- ファイナンシャルプランナー(FP):住宅ローン・管理費・修繕積立金を含めた家計全体のシミュレーションを行ってもらえます
- 弁護士・司法書士:契約内容の確認・権利関係・滞納問題の法的側面を確認する際に相談します
相談前に準備すべき資料
専門家への相談を効率よく進めるために、以下の資料を事前に収集・整理しておくことをおすすめします。不動産会社を通じて売主や管理会社に依頼すれば、多くの場合これらの資料を入手することが可能です。
- 管理規約(最新版)および使用細則
- 総会議事録(直近3〜5年分)
- 長期修繕計画書(最新版)
- 収支予算書・決算書(直近3年分)
- 大規模修繕工事の報告書・竣工図
- 修繕積立金の積立状況・残高の資料
- 管理費等の滞納状況に関する資料
ホームインスペクション(建物診断)の活用
個々の住戸の状態を確認するためには、「ホームインスペクション(住宅診断)」の活用も効果的です。ホームインスペクターが実際に物件を訪問し、壁・床・天井・水回り・設備などの状態を専門的に診断してくれます。費用は概ね3〜5万円程度が多く、購入判断の精度を高めるための投資として検討する価値があります。
2018年の宅建業法改正により、不動産取引においてホームインスペクションの実施の有無を説明することが義務付けられました。売主が実施済みの場合はその結果を確認し、未実施の場合は購入者側で手配することを前向きに検討しましょう。

無料相談の活用:各地の「住まいの相談窓口」(公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター運営)では、マンションの管理問題や購入に関する無料相談を受け付けています。また、公益社団法人 マンション管理業協会でも相談窓口を設けていますので、費用をかけずに専門家の意見を聞く第一歩として活用することをおすすめします。
まとめ
中古マンションは、価格や間取りだけでなく「管理状態」「大規模修繕履歴」「管理費滞納」を総合的に見ることが大切です。エントランスや共用部の清潔さ、管理規約や議事録、長期修繕計画などを確認することで、そのマンションが将来も安心して暮らせるかをイメージできます。
- 共用部の清掃状況・管理員の体制を目視・聞き取りでチェック
- 総会議事録・管理規約を過去3〜5年分確認し、組合運営の健全性を評価
- 大規模修繕履歴・長期修繕計画と積立金残高の整合性を確認
- 管理費滞納の有無・回収への取り組み状況を決算書・議事録から把握
- 住宅ローン+管理費+修繕積立金の実質住居費が家計に無理のない水準か試算
- 不安な点はマンション管理士・建築士・FPなど専門家に早めに相談
- マンション管理適正評価制度など公的情報を積極活用する
修繕積立金や管理費の水準は、ご家族の家計と無理なく両立できるかどうかが重要です。子育てから老後まで、長い時間軸でご家族の将来設計を見据えながら、暮らしやすさと資産価値を両立できる中古マンションを選びましょう。
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